ブラジャーを試着した体験をユーモアたっぷりに綴ったnoteの記事(FRaU WEBにも転載)が面白すぎると話題になり、一躍ネットで有名になった岸田奈美さん

でもその後、女友達に誘われたある飲み会で、その記事を読んだという男性たちからセクハラを受けてしまう。女友達に助けを求めた奈美さんだったが、彼女の言葉でさらなるショックを味わうこととなった——。

※以下、岸田奈美さんによる寄稿。

「ラピュタ」のシータが嫌いだった

昔から、ちやほやされる女が嫌いだった。嫌いという言葉を使うのは、なんだか申し訳ない。なぜなら今思えば、それは完全に私の妬み嫉み、だったからだ。

例えば、『天空の城ラピュタ』のヒロイン・シータも、その対象だった(世間からの大バッシングが、今にも聞こえてきそうだ)。シータは穏やかで心優しく、かと思えば勇敢さも持ち合わせた、素晴らしい女性だ。わかっている。頭では、わかっているのだ。でも、男所帯の飛行船に乗るシータが、せっせと料理や掃除などの世話を焼いて回り、その健気さと可憐な美貌で男どもをメロメロにしていく過程に、どうにもモヤモヤした。

写真はイメージです(以下同)〔PHOTO〕iStock
 

同じモヤモヤを、高校の野球部の女子マネージャーにも抱えていた。毎日泥だらけになって雑用し、休日返上で練習のサポートをする彼女たちに、なんの非があろうか。あるわけがないのに、私はと言えば、フェルトのお守りを縫い、おにぎりを握り、ちょっとデレデレしている部員にそれらを手渡す女子マネージャーにも、モヤモヤしていた。

大人になって、ほんの少し自分を客観視できるようになって、ようやくわかった。私はただ、妬んでいたのだ。彼女たちにあって、私にないもの。それは“女性らしさ”だった