ウォルマートvsGAFA
ではそれが何かというのを、GAFAの経営戦略をこれまで追いかけ続けているという私のもうひとつの立場から振り返ってみると、ある要因が気になるのです。
それがウォルマートの復活です。
ウォルマートはアメリカ最大の小売業者で、アマゾンが台頭する以前の1970年代から2000年代までのアメリカの小売業における破壊者の立場にありました。
2010年代にはいってもその力は決して衰えてはいないのですが、実はモバイル決済やビッグデータへの注力についてGAFAに遅れをとるという失敗を犯していました。
それは2012年のことです。
GAFAの台頭を前にこの分野にどう対処するかをアメリカ中の小売業者が悩んでいたこの時期に、ウォルマートはMCXというコンソーシアムへの参加を表明します。これは全米の小売業者連合による新しい電子決済のインフラで、マーチャントカスタマーエクスチェンジの略称です。

簡単に言えばグーグルやアマゾンが年間1兆円レベルの資金を投下して、AIやオンラインマーケティング、そしてそれと電子決済から得られるビッグデータの活用までの研究開発を行っているのに対して、資本規模で劣る小売店はウォルマートを中心に連合を組んでこれに対抗しようという考え方です。
アメリカ小売業界で最大のIT投資を行ってきたウォルマートですら、きたるべきGAFAとの戦いでは資金面で劣位にあることを認識し、それであえて小売連合の側にのることを決めたのです。