最高視聴率55.3%、沢口靖子の伝説の朝ドラ『澪つくし』を語ろう

ジェームス三木×川野太郎×ペリー荻野
週刊現代 プロフィール
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荻野 普通の朝ドラだと、ある程度、主人公の成長を描いてから「初恋」に進む。でも、『澪つくし』では第1話で、いきなりかをると惣吉に運命の出会いが訪れます。女学生のかをるが銚子の海辺で漁船に手をついて立っていたら、人差し指に木のトゲが刺さってしまう。

川野 そこへ僕が演じる惣吉がサッと現れ、「女が船に触っからだ!」とおもむろに彼女の指に顔をもっていく。そして指を口に含んで、トゲを抜いてあげるんです。

 

荻野 この段階で、二人はじっと見つめ合い、もう恋に落ちている。初回からものすごくキュンキュンさせられました。ジェームス脚本は、こういうちょっと気恥ずかしいシーンも衒いなく見せてくれるから気持ちがいい。

川野 最初から惹かれあっているのに、二人を阻む激動の展開が毎回待っているのがニクいよね。恥ずかしながら、僕は脚本を速く読むのが得意ではないんだけど、この作品は続きが気になってスルスル読み進められた。「あれ俺たち、どうなっちゃうの?」って。

三木 しかし、靖子は右も左も分からないまま朝ドラの現場に放り込まれたもんだから、撮影期間中はけっこう泣いていたらしいね。

かをるは関東の娘という設定だけど、靖子本人は生粋の関西っ子でしょう。どうしても関西弁が抜けないから、家族や友達にも一切電話をしちゃいけないって言われていたんだって。

川野 でも、彼女が人前で泣くところは見たことがなかった。本人は「トイレで泣いてる」と言っていました。

あんなに可憐なのに、ときに驚くような気丈さを見せるのが彼女のすごいところ。あるとき、ベテランの役者さんが彼女を激しく叱責したことがあって、「大丈夫かな」と心配していたんです。

ところが翌朝、靖子ちゃんはその役者さんの元に一番に駆け寄り、「おはようございます!」と周りが驚くような大きな声で挨拶をした。相手の方も思わず気圧されていました。

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