最高視聴率55.3%、沢口靖子の伝説の朝ドラ『澪つくし』を語ろう

ジェームス三木×川野太郎×ペリー荻野
週刊現代 プロフィール

荻野 そんな沢口さんと人気を二分したのが、醤油屋の正妻の娘で、かをるの姉・律子を演じた桜田淳子さん。ショートカットでキリッとした眉毛が印象的なモダンガールでした。彼女が出てきたとき「あ、これは絶対かをるをいじめるんだな」と思ったけど、ぜんぜん違った(笑)。

三木 あたりは強いけど、サバサバしていて、かをるに対しても変な偏見とかがないんだよね。彼女にピッタリの役どころだったと思うよ。

ままならないのが人生

川野 実は僕、中学生時代に桜田さんの大ファンだったから、ご本人を前にして「淳子さん、ファンだったんですよ!」って興奮気味に言ったんです。そうしたら、あのクールな感じで「『だった』のね……」って。あ、失敗したな、と(笑)。僕も後々「昔、好きだった」と言われるとちょっぴり寂しいものなんだなぁって、気がつきました。

三木 桜田淳子らしい話だな(笑)。

荻野 フレッシュな面々を揃えた一方で、ベテラン勢がしっかりと配されていたのも、この作品が大きく盛り上がった要因のひとつでしょう。かをるの父で醤油醸造元の当主・久兵衛役には故・津川雅彦さん。その妾で、かをるの母役には加賀まりこさん。他にも惣吉の母親役の草笛光子さんなど、錚々たる顔ぶれです。

 

三木 あのとき、津川さんには「日本の古き良き父親」を演じてもらったんだ。醤油屋を経営しながらも、病気の妻に代わって、子供達の面倒も見なければいけない。正妻の子も妾の子も等しく愛情をかけているから、どこか憎めない。

荻野 それまで二枚目のイメージが強かった津川さんですが、この作品を境にコミカルな役柄でも持ち味を発揮するようになります。川野さんが津川さんの元へ単身で乗り込み、「旦那がその気になるまで、俺は3年でも5年でも待ちます」と、じっと見据えて宣言するシーンは、このドラマの見せ場のひとつです。

川野 あの撮影はよく覚えています。部屋の中で津川さんと一対一で対峙するんだけど、5分以上の場面をワンカットで撮った。カッと目を見開く津川さんの迫力に、思わず圧倒されちゃってね。向こうは日本屈指の名優で、こちらは何も分からぬペーペー。もう、勝てるわけがないんです。

でも、ふと「この緊張感を利用すれば、惣吉のリアルな気持ちを表現できるんじゃないか」と思いました。拙くても、気持ちの真っ直ぐさだけは負けないぞ、と。

関連記事