「この人、キモい」

「えっ、なんで年齢までわかるんですか!?  その人が見えるんですか?」

「うん」

うんって(笑)、と思ったが、ミハエルさんが言うとおり、ABCの年齢はそれぞれ20代、30代、40代だった。ミハエルさんは名前を通してその人にチャネリングし、その人のイメージが目の上あたりに浮かんでくるという。ミハエルさんのすごさに、思わずごくりとツバを飲んだ。

「えっとねー、Aはあなたに依存してる。Bは相性いいよ、結婚したほうがいいくらい。で、Cはキモい

「え、キモい(笑)!?」

「うん、キモいね。Cはあなたに、自分が描いた理想像を押し付けてる。ほかの2人は大丈夫だけど、この人は気をつけたほうがいい。相当、粘着質だよ。距離を置いたほうがいい」

 

たしかに、一番熱烈にアプローチしてきていたのはCだった。

Cとは近所のバーで知り合ったのだが、彼はいつも奥さんと二人で店を訪れていて、会ったときは3人で話していた。夫婦と私は「演劇」という共通の趣味があり、Cから誘われて3人で観劇したこともある(その作品は奇しくも不倫を描いたものだった)。会うのはいつも3人。だから、口説いてきたのが意外だった。

夫婦と3人で親しくしている仲で、口説かれるなんて思ってもみなかった Photo by iSotck

ゴールデンウィークを過ぎたあたりから口説きメールを送ってくるようになり、その内容はどんどんエスカレートしていた。このままだと、彼の奥さんにメールを見られて誤解されるのではないか、と不安だった。