障害者と関わるのは面倒? 外注ビジネスで露呈した「社会の本音」

障害者は障害者だけで暮らせばいいのか
山田 奈緒 プロフィール

共生社会を目指すならば……

雇用促進法の対象が、身体障害者から知的、精神障害者にも広がって30年以上が過ぎた。同じ仕事を担う仲間として障害者を受け入れる企業も着実に増えている。

それは、障害者や家族が偏見や差別に耐えながら働く姿を示し、社会参加という当然の権利を勝ち取ってきた努力や苦労の積み重ねの成果だ。医療、福祉、労働分野の関係者らも奔走し、障害者への理解と職域を広げてきた。

その歴史を踏まえれば、外注ビジネスを行政が後押しするのは誤りだろう。社会の成長を止めてしまう。誰も損をしない仕組みに思えるかもしれないが、そもそも、何のための障害者雇用なのか。農園を利用する企業のモラルも問われる。

 

今後、雇用率は引き上げが予定されており、外注ビジネスに対する企業のニーズはますます高まると見込まれる。実際、この農園のように企業の障害者雇用を請け負う事業が他にも生まれている。

企業は必死に雇用率達成を目指しているが、障害者を社会の一員と捉える土壌が十分に育っていないのに、数字だけ整えても障害者への理解は深まらない。法の理念からずれた数合わせの雇用が進むだけで、障害者の生きがいや成長は置き去りにされてしまうだろう。

外注ビジネスは、障害のある人とない人がともに生きる社会の実現を遠ざけている。

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