今夜いよいよ最終回を迎えるドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)。同作の胸キュン演技で改めて注目が集まっているのが、俳優・中川大志だ。Twitter上には「中川大志ってあんなにかっこよかったっけ?」「福士蒼汰の劣化版だと思っていたのに」と本作で彼の魅力に気づいた女性たちの声が散見される。

〔PHOTO〕『G線上のあなたと私』公式HPより
 

顔が似ていることもあり、福士蒼汰と比較されることが多い中川だが、俳優としてのキャリアは小学5年生でデビューした中川のほうが長く、実力も高く評価されている。いまや若手演技派俳優の一角を担う存在となった彼の演技力を支えるものは何なのか。20年以上にわたり趣味も含めてドラマの分析に携わる立場から考えてみたい。

1つの作品で3つの表情を使い分ける

2019年秋ドラマで大きな話題となっている『G線上のあなたと私』。さまざまな事情を抱えながら、大人向けのバイオリン教室へ通うことになった3人の男女が出会い、励まし合い、友情や愛情を育んでいく姿を描いている。

中川はバイオリン教室の講師に心を寄せる大学生・加瀬理人役を演じているのだが、中でも話題になったのが、3話の演技。酔っ払った理人が雑踏の中で見失った主人公の小暮也映子(やえこ・波留)を見つけて「壁(シャッター)ドン」した時のセリフと表情だ。

理人「焦った。ナンパされていなくなったかと思った。今日かわいいから」(3話より)

その時、理人の目はとろんとうつろで、焦点がいまいち定まっていない。酒に酔っていることもあって夢うつつな表情だ。これに世の女性たちは心を撃ち抜かれ、Twitterでは「殺す気か!」「動悸が止まらない」といったツイートが溢れ、「#中川大志」はトレンド入りを果たした。

それまで理人と也映子は、あくまでもバイオリン教室で一緒になっただけ、という距離感だった。也映子を恋愛対象として意識しはじめる前の理人の表情はいつも不機嫌そうに堅く、無表情に近いことが多かったからこそ、このギャップに女性視聴者は陥落した。