迷走する「共通テスト」、記述式見送りだけでは解決しない「国語」問題

〈志〉の身ぶりとその内実
木村 小夜 プロフィール

共通テスト作問の方向性とは

大学入試センターから出された「「大学入学共通テスト」における問題作成の方向性等と本年11月に実施する試行調査(プレテスト)の趣旨について」(2018.6.18)には「問題作成の方向性」として、次のような一文があります。

共通テストでは、高校等における「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善のメッセージ性も考慮し、授業において生徒が学習する場面や、社会生活や日常生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面、資料やデータ等をもとに考察する場面など、学習の過程を意識した問題の局面設定を重視することとしています。

「主体的・対話的で深い学び」という文言は『高等学校学習指導要領』「第一章 総則」にあります。共通テストの方向性が「授業改善のメッセージ性も考慮した」ものだ、という点には注目すべきでしょう。ここでは、問題中に登場する場面が高校での具体的な学習や生活の中での問題解決・考察のありかたを指し示す、ということが意識されています。つまり、高校教育が「主体的」な学びたりえているかどうかも含めて、こうした仮想的な課題解決に向けて君自身ならどうするか、といった視点を持ち込ませ、複数資料に即して問題を解く、という意匠をほどこしたわけです。

 

ここからすれば、恐らく「対話的」な学びたることを目がけて問題の随所に会話文を加えたのだろう、という推測もできます。そうした意匠や会話文によって教育現場を入試問題上に再現することで「授業改善のメッセージ性」を「考慮」した、という建前なのでしょう。大学入試によって高校教育を変えようというわけです。

すると問題は、随所に登場するこの方向性が本来の「主体的・対話的で深い学び」に結びついているかどうか、ということになります。

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