2019.12.23
# 鉄道

「酔ったら、何してもいいの?」なぜ鉄道駅員への暴力が減らないのか

心が荒んだ人が増えている
野田 隆 プロフィール

社会では、解のある問題ばかりではないし、不得手な仕事もこなさなければならない事態も多々出てくる。そうしたときに忍耐を経験してこなかった人間は短絡的になり、じっくりと考えることをしないので、刹那的な行動に走ることになりかねない。

また、物事を熟考することは、読書習慣で醸成されるものであるが、ゲームばかりしていると、そのような思考も身につかない。スマホが普及して、生身の人間とのコミュニケーション不足になり、自分の世界に入り込み、歩きスマホで人とぶつかっても悪びれることのない人間。暴力行為の火種は尽きることがない。

 

鉄道会社の対応として求めるもの

かように加害者になりそうな人の背景を探ってきたが、鉄道関係者の言動にも触れておかなければ公平とは言えまい。乗客に親切かつ丁寧に対応することは無論だが、不測の事故が起こった場合の対応も、「復旧の見込みはたっていません」を繰り返すばかりでは能がないし、イラついた乗客に火を注ぐことにもなりかねない。

そう考えると、鉄道会社側にも余裕を持ちつつ、精神状態を和らげるような対応も望まれる。サッカーのサポーターが大挙集まって大混乱しかけた時のDJポリスのような話術も必要ではないだろうか。

いつだったか、正月明けに初詣客が殺到していた私鉄の駅でのこと。我先にと改札口に殺到して、あわや事故でも起きるのではないかと懸念していたとき、駅員さんがマイクを持って「神様は逃げません。急いでもご利益が増えるわけではありませんよ」と言って、周囲の人の笑いを誘っていた。

一つ間違えれば事故や暴行事件も起こりかねない状況でのユーモア。日本社会では、欧米社会に比べてユーモア精神が欠如していると体験的に思っている。事故が起こりかねない切迫した状況下においても、ユーモアを解する精神的に余裕ある社会であることが、ストレスを和らげ、陰惨な暴力事件も少なくなるのではないだろうか。

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