紅白出演のTWICEも…KPOPアイドルが日本語の歌詞で歌う理由

なぜ日本でのみ現地化戦略をとるのか

いっときのブームかに見えたKPOPはもはやブームとは言えないほど日本の音楽市場に長く定着している。そんななか、日本のKPOPファンの中である疑問が起こっている。なぜKPOPアーティストは日本では日本語の歌詞で歌うのか、である。

たしかに、アメリカの音楽チャートの常連になっているBTS(防弾少年団)は同国では韓国語のアルバムをリリースし、ライブやテレビ番組でも韓国語で歌っているにもかかわらず、日本では日本語のアルバムをリリースし、先日の「2019 FNS歌謡祭」に出演した際も日本語で歌っていた。FNS歌謡祭と同日に東京ドームでライブを行ったBLACKPINKもすべて日本語でパフォーマンスしており、本日放送のNHK「紅白歌合戦」に3度目の出場となるTWICEも、過去2回とも日本語で歌っている。

TWICEのパフォーマンス〔PHOTO〕Getty Images
 

KPOPファンの多くは、韓国語の歌詞の楽曲を聴くという。もともとその言語のためにつくられた楽曲だからこそ、当然、韓国語の方がクオリティが高いからである。Spotifyを見ても、韓国語の歌詞の楽曲のほうが圧倒的に聴かれている。

なぜKPOPアーティストは日本においてのみ「現地化」の戦略をとるのか。日韓合同の音楽フェスを主催し、過去にCNBLUEやFTISLANDなどのアーティストを日本でプロデュースしてきた崔尹禎(チェ・ユンジョン)さんにその背景について聞いた。

※以下、崔さんによる寄稿。

きっかけはBoAの日本における成功

KPOPのアーティストが日本語の歌詞の楽曲をリリースすることが定石となったのには、2001年に日本でデビューした「BoA(ボア)」の現地化戦略による成功があるといえる。BoAの日本の音楽業界における成功は、当時の韓国音楽業界に大きなインパクトを与えた。

2004年にリリースされたBoAのクリスマスソング「メリクリ」は未だに人気で、先日4年ぶりに「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に出演したBoAは同曲を披露した〔PHOTO〕BoAのクリスマスアルバム「メリクリ」のジャケット

さらに、2004年から日本で旋風を巻き起こした「冬ソナ」「ヨン様」を筆頭とした「思いも寄らぬ」韓流ブームは、韓国の芸能界にバラ色の夢を与えてくれた。まるでアメリカンドリームのような「ジャパンドリーム」を追いかけ、次から次へと金鉱を求めるかのように自国のアーティストを日本に送り込む“ゴールドラッシュ”が始まったのである。

KPOPの成功を数値的に分析する記事はさまざまあるが、実務者の立場から見ても、韓国から日本に進出してワンソース(アーティスト)マルチユースでさまざまなコンテンツを生み出した韓国の企業、アーティスト本人、そして裏の立役者である日本企業が当時、巨大な富を手に入れたことは事実である。

このとき多くのアーティストは海外進出のパイオニアであるSMエンターテインメントとBoAの成功例を参考にした。日本でデビューし現地化戦略をとれば、失敗のリスクが減る、と。今の韓国アーティストのこういったスタイルを定着させたのは、SMエンタとBoA、そしてその受け皿であったAvexと言っても過言ではないだろう。

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