2020.01.08
# 恐竜

冤罪で「タマゴ泥棒」にされた恐竜、中国では「大物」へ出世の理由

恐竜大陸をゆく「日本も関係してます」
安田 峰俊 プロフィール
カウディプテリクス福井県立恐竜博物館内に展示されていたカウディプテリクスの復元模型。見た目はほとんど「鳥」である(2020年1月筆者撮影)

後輩にあたる白亜紀後期のオヴィラプトルの仲間たちとは違い、カウディプテリクスの口はまだ完全にクチバシ化しておらず、化石からは上顎にある少数の鋭い歯が確認された。

後に胃石を持つ化石も見つかっており、肉だけではなく植物も食べる雑食性の生き物だったと考えられている。

シノサウロプテリクスの引き立て役

遼寧省北票市でカウディプテリクスが発見されたのは1997年のことであり、まだ羽毛恐竜の存在が化石によって裏付けられきっていなかった時代だ。付近の地層からは2年前の1995年に、有名なシノサウロプテリクス(Sinosauropteryx:中華龍鳥、本連載の第1回参照)が見つかっているが、この時点ではまだ恐竜ではなく鳥類だと考えられていた。

シノサウロプテリクスシノサウロプテリクスの復元図 Illustration by Alvaro Rozalen / Stocktrek Images

そもそも、羽毛の痕跡を残したシノサウロプテリクスの化石が、鳥類の化石やニセ化石ではなれっきとした恐竜の化石であると判断されるようになったのは、カウディプテリクスやプロターケオプテリクス(Protarchaeopteryx:原始祖鳥、同じくオヴィラプトルの仲間)などの他の羽毛恐竜が熱河層群から続々と発見されたためである。

カウディプテリクスは比較的知名度が低い恐竜だが、シノサウロプテリクスという近年の中国恐竜学の代表選手が認められるきっかけを作ったという点で、羽毛恐竜の研究史上では非常に意味のある引き立て役を演じたと言っていいかもしれない。

恐竜の名前になった中国共産党古参幹部

カウディプテリクスは、化石発見の経緯についてはあまり面白いエピソードがない。ただし名前については、中国ならではのちょっとおもしろい話がある。

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