欧米では腫瘍内科医ががん治療の中心

日本人の2人に1人が罹患する「がん」だが、この20年くらいの間に分子標的薬など新しいタイプの抗がん剤がつぎつぎに開発されたことでがん医療は大きく変わった。抗がん剤は、術後患者の治癒率を高め、遠隔転移があっても、長期に生存ができる人が増えてきた。新薬により世界的にがん患者の生存率が上がっていると言っても間違いではなく、欧米ではがん治療の中心に、腫瘍内科医の存在があるのだ。

しかし、日本では腫瘍内科の存在感が薄い。それは一体なぜなのだろう!?

 

「腫瘍内科は日本ではまだ歴史が浅い診療科で、医師の数が圧倒的に少ないのです。2019年のデータによると、アメリカでは、17061人も専門医がいるのに対して、日本は1329人。13分の1という少なさです。私が医師になった当時は、日本には、腫瘍内科医という存在はありませんでした。腫瘍内科医がいなかった時代は、各臓器の外科医や内科医が薬の勉強もして、抗がん剤を扱うしかなかった。ただ、今でもそういう病院は、実際には多いですね」

抗がん剤の扱いについては、臓器ごとにエビデンスに基づいたガイドラインがあり、最も優れていると世界的に証明された「標準治療」というものが複数ある。腫瘍内科医以外の医師も、ガイドラインに則り治療を行っているのが現状だと勝俣医師はいう。

「ただ、ガイドラインさえやっておけばよい、というわけではない。ガイドラインは、最低限守らなければならないことであり、ガイドラインに則ることは当然のことです。抗がん剤の難しいところは、投与するのは、誰でもできるが、副作用管理が難しいことです。

抗がん剤には副作用は避けられず、時には生命を脅かすほどの副作用が出てしまうこともある。しかし、副作用を恐れて、その患者さんに必要な量をきちんと処方しないと効果が減る。うまく副作用をコントロールしながら、うまく投与を続けることが大切なのです。

患者さんの副作用の状況に応じて、個別対応を微妙な匙加減をしながら行うには、かなりの経験、知識、すなわち、高い専門性が必要となります。決して、外科医が手術をしながら片手間にできるものではありません。本気できちんと抗がん剤を投与しようと考えたら、腫瘍内科医になるしかありません。実際に、そのように考えて、外科医を辞めて、腫瘍内科医になった医師を何人か知っています」

ドラマでは、木村佳乃演じる消化器外科医の梶山薫とタッグを組んで、がん治療に立ち向かっていく。写真/フジテレビ