犯罪者をコンサルタントにすることも出来る
「犯罪者を警察のコンサルタントに雇う」などと言うと、アニメやドラマの世界の話だと思うかもしれない。
しかし、IT分野で「ホワイト・ハッカー」と呼ばれる人々は、元々はハッカーであった人々が中心だ。ハッカーとしての知識や体験をハッカー対策に生かすというわけである。
各地の古代遺跡は盗掘者に悩まされているが、マヤ文明の遺跡のように広範囲にわたる遺跡は特に対策が大変だ。この監視員にも「元盗掘者」が雇われている。盗掘者の行動を先読みして防止するわけだ。
もちろん、「改心する」ということが条件だが、犯罪の手口を熟知している(元)犯罪者は犯罪捜査にとても役立つ。
フランク・アバグネイルは16歳という若さで詐欺を始め、21歳までの間に飛行機パイロットの肩書詐称などの手口で世界中を手玉に取り、現在の貨幣価値で40億円以上を手にしたとされる伝説的人物である。
その実話を基に、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(筆者映画評論)という映画が2002年に公開された。レオナルド・ディカプリオが主人公、トム・ハンクスが銭型警部的な人情味あふれる捜査官を演じている。
さらに驚くべきことは、フランク・アバグネイルが,出所後様々な職業を転々とした後、企業向けの詐欺対策をアドバイスするアバグネイル・アンド・アソシエイツを創立したことだ。
連邦捜査局(FBI)と35年以上提携、全米の連邦捜査局アカデミーや現場事務所でコンサルタントや講師をしており、14000以上の機関が詐欺予防プログラムを受けているそうだ。
米国の人気ドラマの「ホワイトカラー」では、バービー人形の彼氏のような超イケメン、マット・ボマ―が活躍するが、元詐欺師がFBIのコンサルタントとして活躍するストーリーだ。
ゴーン自身は、企業の経営者が私腹を肥やす「経済犯罪」の手法に精通しているであろうし、逃亡幇助チームは、税関や監視網の抜け穴を熟知しているであろう。
ドラマの「ホワイトカラー」のように、「拡大的司法取引」として、彼らの罪を減免する代わりに、警察の仕事を手伝わせるというのは必ずしも荒唐無稽な話ではないと思う。
ちなみに、「ホワイトカラー」のマット・ボマ―は、GPS付き足かせをはめられ逃げられない設定になっている。