2020.01.28
# 海 # 環境

世界平均の27倍!日本近海で急拡大するマイクロプラスチック汚染

なぜ汚れたのか?どう清浄化するか?
蒲生 俊敬 プロフィール

投棄されたプラスチックごみは、下水や川を流れ下って、やがて海岸に打ち寄せられる。

船の上から投棄されるごみもあり、たとえばレジ袋はそのまま外洋を漂い、ゆっくりと海底に向かって沈むようだ。

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我が国の潜水船「しんかい6500」が深海を調査中に、レジ袋が吹きだまりのように密集しているようすを目撃している。万一、これらのレジ袋が潜水船の窓にはりついたりスクリューに絡みついたりすれば、潜水船は動きがとれなくなり、貴重な潜航調査が中止に追い込まれることもある。

半永久的に存在しつづける

それにしても、我が国の沿岸景勝地や美しい砂浜が、ペットボトルをはじめとするプラスチックごみの集積によって台無しにされているのは、ほんとうに残念である。

しかし、大きな問題を引き起こしつつあるマイクロプラスチックが登場するのは、このあとだ。

太陽の紫外線を浴びつづけたプラスチックごみは堅くなり、劣化していく。やがてもろくなったプラスチックごみは割れてバラバラになり、5mm以下のサイズまで破砕された断片が、すなわちマイクロプラスチックだ。

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マイクロプラスチックの多くは、引き波によって外洋へと運び出されていく。

海岸でプラスチックごみを回収している地元のボランティアや学生の方々には頭が下がる。彼らによるごみの回収は、単に海辺の美観だけの問題ではない。マイクロプラスチックの発生源を断ち切るという点で、きわめて意義ぶかく、激賛に値する行動なのだ。

なお、古いプラスチック製品の破砕によるもののほかに、最初から細粒のプラスチックも存在する。たとえば洗顔料や化粧品、歯磨きに入っているマイクロビーズとか、レジンペレットとよばれるプラスチック製品の中間材料、あるいはポリエステルなどの化学繊維の衣服から出る洗濯くず等々も、すべてマイクロプラスチックの範疇に入る。

下水処理場で回収されなければ、これらもまた、海へと流れ出していく。

やっかいなのは、マイクロプラスチックが決して水に溶けず、分解もしないことだ。すなわち、いつまでも海に残りつづける半永久的な存在なのである。

海洋中のマイクロプラスチックの量は?

外洋に漂い出たマイクロプラスチックは、軽いうちは海面に浮かび、海流に乗って運ばれていく。

日本近海には、いくつか海流がある。日本海では、対馬海峡から流入する対馬海流が北東方向に流れ、宗谷海峡や津軽海峡を経て、オホーツク海や西太平洋へと抜けていく。

一方、本州南方には、強い東向きの黒潮が流れている。黒潮は、北太平洋全域をめぐる時計回りの循環流(亜熱帯循環系)の一部を成している。

 

我が国では、環境省が日本列島周辺の海洋ごみ問題に対処している。その一環として、2014年に東京海洋大学への委託事業である「沖合海域における漂流・海底ごみ実態調査」が始動した。

このうち、マイクロプラスチック研究は九州大学に再委託され、応用力学研究所の磯辺篤彦教授が中心となって、本格的な調査が開始された。

海水中にはいったい、どのくらいのマイクロプラスチックが含まれているのか。

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