2020.01.25

忍耐が友達だった、私の22年間

なみちえ プロフィール

ここら辺でむしろステレオタイプに乗ってやろうとラップを始める。だがこの頃、自分の本質的な衝動である「偏見や固定概念から解脱したい」という強い思いは、精神的な疲弊のなかで「現実を真っ向から見る」という機能を完全に失った。喜怒哀楽の感情と自分自身の存在に白いモヤがかかった状態で目に映るものすべての彩度が薄くなった地球を何もせずフラフラ歩くことが多くなった。

 

世界は私の形骸をまともに真正面から見られない視点の民で溢れている、となると、とにかくもう、自分らしい自分がどこにもいないのだと思えてきて、こうなってくると外界におけるアクティビティが何一つ楽しいと思えなくなってきた。

病的な状況だったかもしれない、症状が酷くなると次は肉体と精神が分離してくる。とんでもなくややこしい状況だけど、客観視した自分自身が主観とは別の視点で自分が写る映像を脳内で再生させてくるのが通常の現実的世界になったし、そのせいで脳内だけは常にうるさいくらい思考過多なのかなんなのか、そこには登場人物が沢山いた。「あああああああああ」「もう、俗世的な事なんて全部やめなよ」「ほら! またジロジロ見られてるぞ」「大丈夫大丈夫大大丈大大大大丈夫夫丈夫夫夫夫」「17時までに課題提出・20時までに歌詞を書き上げます」「あああああああああ!!!!!!!」

パフォーマンス中の著者

——ある日、夢でもないし現実でもない、またはハッキリとどちらでもある時空間に迷い込んだ私は二人の男女の声を聴いた。私よりも男らしい男性の声と私より女らしい女性の声だった。まるで私を二つに分断したかのような二人が会話を始める「なみちえってこれからどうなるんだろうなぁ~w」「ん~、わかんなぁい~☆」。

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