モラルが崩壊している
山梨学院大学で働く教職員から2019年12月末、にわかには信じられない情報が筆者の元に寄せられた。
「12月分の給与が規定通りに支払われず、1月にいたっては給与の支払がありません」
学校法人山梨学院の法人本部人事課が、対象となる教職員宛てに出した文書を確認すると、確かに次のように記載されていた。
・年末・年始の給与支給については「年末調整等の都合上」、12月分の給与計算は20日締めとなり、20日分を12月30日に支給。
・1月分の給与は12月21日から1月31日を算定期間として、2月10日を支給日とする。
・1月分の給与は12月21日から1月31日を算定期間として、2月10日を支給日とする。
この通知が行われたのは12月16日。給与の支給が遅れることが、一枚の文書のみで通知されたのだ。
対象は教職員約670人あまりのうち、非常勤教職員と一般職員あわせて約220人に及ぶとみられる。教職員からは次のような声が上がっている。
「本来は12月21日から31日分は、1月10日に支払われるはずです。それが1か月遅れる形です。理由は年末調整上の都合と書いていますが、どういうことなのか全くわかりません。文書には責任者の名前もなく、到底納得できるものではありません」
「車や家のローンなど、1月の生活が極端に厳しくなります。私たちの生活を無視した行動に怒りを感じます。就業規則通りしっかり支払ってもらいたい」
これまでにも、山梨学院は非常勤講師に対する違法な定年切り下げをしたとして、2019年1月に甲府労働基準監督署から是正勧告と指導を受けるも、現在まで改めていない。2019年3月には、少なくとも20人以上の非常勤講師が雇い止めされていた可能性が高い。
その一方で、2018年4月に父親の跡を継ぐ形で着任した理事長兼学長が、大学に関連する事業を妻が経営する会社に発注していたことがわかっている。学校法人としてのモラルが上層部によって崩壊している現状を、2019年8月と9月の2度にわたって報じてきた。