2020.02.01

米テスラ、ここへきて「脱・自動車メーカー」で株価急騰しているワケ

競合にはないユニークなアプローチ
石原 順, マネクリ プロフィール

今後の成長のキーとなるのは中国市場と環境規制

テスラの時価総額(1月24日時点)はビッグ3(ゼネラル・エレクトリック、フォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズ)を大きく引き離している。今後、この時価総額に見合う成長を成し遂げていくためのキーとなるのは中国市場の開拓と環境規制の2つにあると考える。

中国においては先日、上海のギガファクトリーで生産されたモデル3が初めて納車された。工場の着工からわずか1年であった。現在の生産ペースは週1,000台程度であるが、週3,000台程度の生産能力があり、将来的には、年間50万台まで生産ペースを高める計画である。

出所:筆者作成

テスラが中国国内で製造する「モデル3」については、中国政府の補助金の対象となっており、世界最大のEV市場で、戦略的な価格設定とともに売上はさらに拡大していくことが想定される。

 

ブルームバーグの報道によると、中国国内での販売価格約5万ドル(約540万円)に対して、中国政府から大約2万5000元(約38万6000円)相当の補助金が受けられる見通しである。

●上海のギガファクトリー

そして環境規制である。テスラの決算資料によると、売上の細目は「Automotive sales(電気自動車の販売)」「Automotive leasing(電気自動車のリース事業)」「Energy generation and storage(エネルギー発電と貯蔵製品)」「Services and other(サービス、その他)」の4つであるが、実はもう1つ重要な収益源がある。「Regulatory Credits(規制クレジット)」だ。

米国の自動車メーカーは規制によってゼロエミッションの車を一定の割合で販売することが義務付けられている。販売が規定数に達しない場合、自動車メーカーは違反金を支払うか、他のメーカーから余剰クレジットを購入する必要がある。それが規制クレジットである。

テスラが生産する車は全てがゼロエミッションであるため、テスラは相当量の規制クレジットを確保しており、これをGMやフィアット・クライスラーに販売している。この規制クレジットは、コストがゼロであり、売上がそのまま利益となる打ち出の小槌である。

Cash Flow Based Dividends Stock Screener の記事「How Much Revenue Did Tesla Make From Regulatory Credits?(テスラは規制クレジットからどのくらいの収益を上げたか?)」によると、テスラは2018年に約4億1860万ドル、2017年に3億6030万ドルの規制クレジットを販売した。

2018年の規制クレジット収入は販売開始以来、過去最高を記録した。この規制クレジット収入は2012年のわずか4,100万ドルから2018年のわずか7年でほぼ10倍に増加した。規制クレジットの販売による収益は将来的にわたって増加する可能性は高く、今後もその傾向は続くと見られる。

●テスラの規制クレジット収益(年次)

出所:Cash Flow Based Dividends Stock Screener

一方、全体の売上に占める規制クレジットの割合は2012年の10%から2018年には2%に大幅に低下しているが、これはEVの販売を始め、その他の売上が伸びているためで、テスラの販売が順調に拡大していることの証でもあろう。

●総収益に対する規制クレジット収益の比率

出所:Cash Flow Based Dividends Stock Screener
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