著書『キャッシュレス生活、1年やってみた』を上梓した美崎栄一郎氏に、舞台裏を解説してもらった。
「20%」には理由がある
ペイぺイが20%還元を始めたおかげで、ネットで火が付き、日本中の話題になりました。2018年12月が最初の100億円還元キャンペーンでした。100億円を還元するという金額の大きさもさておき、何でも20%オフになるという仕組みが強烈でした。

通常、スーパーなどでも特売品は存在します。私の勤めていた花王が製造している衣料用洗剤のアタックは、ドラッグストアやスーパーの特売商品として並ぶことも多かったのですが、20%どころか原価割れの値段で販売されることもありました。いわゆる、客寄せのための目玉商品です。
それだけ買われると、採算が合わないですが、買い物に来れば他の商品も買うことになりますから、トータルで考えると元が取れるという算段です。
この場合ですと、特定の商品だけということですが、ペイぺイのキャンペーンが強烈だったのは、お店にあるものは何でも20%オフという点です。我々買う立場からすると、欲しい物を買って20%オフになるわけですから、100億円というタイムリミットの前にどっとお店に押し寄せたわけです。
ここで、20%というのがポイントです。法律があるのです。「不当景品類及び不当表示防止法」と正式名称は長いので、景品法と記述しますが、景品法では、利用者にもれなく提供する景品は1000円以上の取引の場合、取引価格の20%が上限と決められています。
景品法の制約のために、どのキャンペーンも20%だったのです。ちなみに、雑誌の景品も取引価格の20%と決められているので、その範囲内で景品を作らないといけません。
書店やコンビニに並んでいる雑誌におまけがついていると思いますが、そのおまけの原価は、雑誌の価格の20%に収まっているはずです。私は、商品開発のコンサルティングをしていますので、新しいおまけがついているとチェックしています。
雑誌価格の2割と計算すれば、おまけの原価がわかります。この商品はこのくらいの予算で作ることができるんだという製造原価を知る目安にできるのです。