占い師への道

「西新宿の母」と呼ばれる人気占い師がいるのをご存知だろうか。真如雅子(しんじょ・まさこ)さんである。

彼女は、30年前から新宿西口の小田急百貨店前で占いを行い、連日40〜50人の行列を作っていた人気占い師だった。「西新宿の母は当たる」と評判が評判を呼び、ある雑誌の「占い師覆面調査」で、名だたる人気占い師を抑えて最高位に輝いたこともある。テレビなどに露出することはほぼなく、口コミだけで行列を作った「伝説の占い師」なのだ。

10年ほど前に小田急前での占いにはピリオドを打ち、現在は新宿駅南口に近いビルにオフィスを構え、鑑定を行なっている。四柱推命、九星気学、タロットなどを自在に操り、今も熱烈な支持者の常連がいる。

現在は新宿駅南口にオフィスをかまえる
 

「実は私、占いが嫌いだったんですよ」

取材で訪れると、真如さんは意外なことを言い出した。

真如さんは、学生時代からよく海外に行っていたことから、卒業後は自分で貿易の会社設立し、経営するようになっていた。そんな30年以上前のことである。ある日、従業員の男性が「昨日、占いで診てもらったんです」と話し出したところ、真如さんは「占いなんて信じられない」と一蹴したのだと言う。

「あなたは、占いを知っていてそんなことを言うんですか? 知りもしないくせに」
従業員にそう返された真如さんは、まさに売り言葉に買い言葉で、
「わかった。じゃあ、私も占いを勉強しますよ。占いなんて嘘だと証明しましょう!」
と返した。――それが始まりだった。

「ムキになって大金を叩いて占いの勉強をしました。もちろん、商売にするつもりなんてさらさらありませんでした」