広告業界に激震走る——グーグルの方向転換が、なぜ重大なのか?

これはビッグデータ規制の始まりか
野口 悠紀雄 プロフィール

 「広告業界への打撃は必至」というのだが、なぜ?

この問題がいかに分かりにくいものかを示す例をあげよう。今年 1月16日の日本経済新聞1面トップに、「ネット利用者の閲覧データ、グーグルが提供取りやめ」という記事が出た。

この記事の内容は、かなり難しいものだった。ウエブ業界に関係がない人で正確に理解した人は少なかったと思う。まず、グーグルがこれまで何をやっていたのかが、理解しにくい。この記事のタイトルからすると、これまでグーグルは、閲覧データを他企業に提供していたのだろうか?

では、どのような情報をどのような企業に提供していたのだろうか? 記事によると、「閲覧履歴のデータが、外部のネット広告企業などに無料で渡る仕組みになっている」とある。外部の広告企業とは、どのような範囲なのか? なぜこのようなデータを渡すのか? どのようにして渡すのか?

閲覧履歴のデータとは「クッキー」と呼ばれるものだというのだが、「クッキー」とは何なのか? インターネットを使っていれば、多くの人が「クッキー」という言葉を何度も聞いているだろう。しかし、それがどういうもので、どのような機能を果たしているかについて、正確に答えられる人はあまり多くないと思う。

この新聞記事のサブタイトルは「個人情報保護を優先」というものだった。すると、これまでは、営利のために個人情報がグーグルから広告企業に渡されていたということなのだろうか?

最も知りたいのは、「提供取りやめによって何が変わるのか?」ということだ。記事は、「(広告)業界への打撃は必至」としていた。では、なぜそうなるのか? また、グーグルは、これによっていかなる影響を受けるのか?

この 記事の最後には、「今回の措置で、大手IT企業のデータ寡占が進む可能性もある」とあったのだが、なぜなのか? 「疑問だらけでよく分からない」というのが、多くの人の反応だったのではないだろうか?

 

なお、この記事は、1月21日にタイトルと内容が訂正され、「提供取りやめ」とあったのが、「機能を制限」にされた。こうなると、さらに分からなくなってくる。「機能」とは、一体どんなものか?

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