広告業界に激震走る——グーグルの方向転換が、なぜ重大なのか?

これはビッグデータ規制の始まりか
野口 悠紀雄 プロフィール

知らないうちに「プロファイリング」されている

クッキーの利用は、以上にとどまらない。グーグルなどの検索エンジンでは、クッキーを利用して、ユーザーがどのページに何回アクセスしたかを把握している。

この情報を用いれば、そのユーザーがどういう人かを推定できる。性別、年齢、所得、家族状況、趣味などの「プロファイル」を推定できるのだ。これを「プロファイリング」という。

これを用いると、検索エンジンは、ユーザーに合わせた検索結果を返せるようになる。その人が興味がありそうな情報を返してくるのだ。例えば、レストランを検索すれば、その地域のレストラン情報を表示する。

つまり、インターネットからプッシュされてくる情報にはバイアスがある。これは、イーライ・パリサーが指摘した「フィルター・バブル」という現象だ。

こうなると、情報の受け手は、「泡(バブル)」の中に包まれたようになってしまい、自分が見たい情報しか見えなくなり、知的孤立に陥るというのだ(イーライ・パリサー、『閉じこもるインターネット』、早川書房、2012年。なお、野口悠紀雄、『知の進化論』、朝日新書、2016年、第5章も参照)。

では、実際に、どのようにプロファイリングされているのだろうか? グーグルの場合、次のURLにアクセスすると知ることができる。https://www.google.com/settings/ads/onweb/?hl=ja

私の場合についていうと、年齢、使用クレジットカード、性別、学歴は、正しく推定されていた。年齢や学歴を、どうやって正しく推定できたのだろうか? 「何に関心を持っているか」については、当たっているものと見当違いなものが半々くらいだ。「野口悠紀雄という人物がこういうプロファイルを持っている」と示されているわけではないのだが、「このブラウザを用いてアクセスしている人物は、このようなプロファイル」ということが示されているのだ。

その意味では、これは個人情報ではないといえる。日本の「個人情報の保護に関する法律」は、個人情報を、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」と定義しているからだ。

 

しかし、他の情報と付き合わせれば、個人名とのリンクも可能になるかもしれない。そう考えると、「無関心のまま放置しておくのも危険かもしれない」という気持ちになってくる。

関連記事