AIはどこまで人間に近づくのか――人工知能が「創造性」を持つまで

【特別対談】栗原聡×河合莞爾
現代ビジネス編集部

シンギュラリティは、人の心の中にある

河合:こうやってAIが進化していくと「シンギュラリティ※8」が心配になってくる訳ですけれども、栗原先生はシンギュラリティはやってくるとお考えですか?

栗原:例えば、映画『ターミネーター』でスカイネットが人間に戦争を仕掛けてくるのは、AIと人間の実力が拮抗しているからですよね。

河合:そうですね。戦って勝たないと支配できない訳で。

栗原:でも、もしAIが人間の知能を追い越すとしたら、線形的にじわじわとではなく、指数関数的にあっという間に追い越すと思うんですよ。だから、追い越した時には圧倒的な大差が着いているので、すぐにAIは人間のことを気にしなくなるんじゃないでしょうか。我々人間が、アリを支配しようとは思わないように。

河合:人間みたいな、取るに足らないものを支配したってしょうがない。

栗原:だから、人がシンギュラリティに漠然として不安を感じるとすれば、人の中にあるバイアスが不安を生んでいるんじゃないでしょうか。

河合:偉くなった途端に他人をマウンティングするような人は、AIにマウンティングされる日が来るのを恐れる……(笑)。

栗原:そういうことですね。けしからんのは人間であると。繰り返しますが、AIは人間の生活を便利にしてくれる道具なんです。AIに仕事を奪われることもあるでしょうが、AIが稼いだお金でベーシック・インカムを進めることもできます。問題を解決するのは人間なんです。

河合:道具が危険かどうかは、使う人次第ということですね。

 

栗原:私は、今回の「TEZUKA2020」のようなプロジェクトこそ、AIの理想的な使用方法だと思います。AIが人間の読みたいものを創って、人間を癒やしてくれる訳ですから。読み手だけではなく創作者も、AIを使用することで作業が楽になったり、想像力が広がって新しい創作物が生まれたりする、そんな時代が来ると思います。

河合:私も、AIに執筆を手伝ってもらえる日を楽しみにしたいと思います(笑)。

※8 シンギュラリティ(技術的特異点)は、未来学者のレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil, 1948~)が提唱する概念。2045年以降、全ての技術の進歩はAIの制御下に置かれるようになると予測した

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