まだまだ「クライマックス」ではない
筆者のスタンスは、「ただの調整の範囲」という認識だ。

今まで、特に欧米を中心として無秩序に異常な上昇を続けてきた事実を踏まえれば、この程度の下落はレンジ相場の範囲と言っていい。
事実として、米国株の株価収益率(PER)を見ると、2月末時点で16.8倍と、前回の強い調整相場であった2018年12月末時点の13.6倍と比較に対して大幅に割高の状態となっている。
図:S&P500指数と予想PERの推移
これは、仮に分母の予想EPS(一株利益)が変化しない前提であっても、さらに2割近い株価の下落余地を示唆している。無論、今回の新型コロナウイルスの影響はこれから顕在化するため、予想EPSが切り下がるのはほぼ確実だ。そうなれば、潜在下落率はさらに大きくなる。
また、仮に景気が後退して2008年の経済危機のような状態になれば、現状から半値では済まない。何にしても、現在の株価水準が短期的にもクライマックスと見るのは楽観に過ぎるということだ。
自律反発はあっても、現在の感染拡大の状況から考えて上昇基調に再び乗るとは考えにくく、動きの激しい乱高下相場になる可能性が高いと見る。
そして、これは日本株市場でも同様だ。