僕はアラサーの男でゲイだ。ゲイではないかもしれない……と思っていた時期もあるけれど、今はゲイと名乗っている。20代前半の時、僕は家庭の事情からお金に困って「売り専」と呼ばれるゲイ向けの風俗店でキャストとして働いていた。その時にすごく、すごく、すっごく思っていたことがある。
「女は得でいいな」
理由は、主に以下のようなものだ。
・男からチヤホヤされる(自分もイケメンからナンパされたい)
・仕事などで過度な義務を与えられない(楽そう)
・同じ本番アリの風俗だったら、ゲイ風俗よりソープの方が断然稼げる(うらやましい)
・顔に自信がなくても女は化粧でごまかせるけど、男は整形するしかない(実際に僕は整形した)
・最終的には専業主婦という選択肢がある(働かなくていい)
・仕事などで過度な義務を与えられない(楽そう)
・同じ本番アリの風俗だったら、ゲイ風俗よりソープの方が断然稼げる(うらやましい)
・顔に自信がなくても女は化粧でごまかせるけど、男は整形するしかない(実際に僕は整形した)
・最終的には専業主婦という選択肢がある(働かなくていい)
だから女は得でいいなと思っていたし、僕は男であることをやめたかった。別に女になりたいというわけではなく、男であることに疲れていたのだ。
ゲイである以上、日常生活で普通に出会いを探すことも難しい。だから、ゲイ用の出会い系サイトやウェブの掲示板を使っていた。そしてたまに、一般的な男女の出会い系サイトに登録し、ご飯を奢ってくれる年上のおじ様を見つけて生活のタシにしていたりもした。今はどうか分からないけれど、当時は男女の出会い系サイトでも同性とのやり取りを希望するユーザー用の掲示板などがあり、女性も好きだけど男性にも興味があるという人を割と簡単に見つけられたのだ。
その流れで、男女の出会い系サイトで女性のフリをして男性とやり取りをしたことがある。正直、それは決して褒められたことではないし、そんなことをしていた僕が偉そうに何かを語れる立場ではないことは重々承知している。でも、この経験は僕にとって、ものすごく大きな意識変革をもたらしてくれた。