2020.03.06
# 不動産 # マンション

「スラム化」しかけた千葉のマンションが、奇跡の復活を遂げるまで

団地型マンション、再生のヒント
山岡 淳一郎 プロフィール

それでも建て替え推進派住民は諦めず、建築事務所をコンサルタントに選んで「マスタープラン」を作成。「敷地の『3分の2』売却、団地内に仮住戸200戸建築し、平均250万円の負担で従前と同じ広さの新住戸に住める」という素案を住民総会にかけた。のるかそるかの建て替え決議。団地全体では建て替えに必要な「5分の4」の賛成をクリアした。

一方で、27の棟ごとでも「5分の4」の賛成が必要だったが、8つの棟で賛成が80%を切り、建て替え決議は不成立。十数年に及ぶ建て替え騒動に終止符が打たれたのだった。

〔PHOTO〕iStock

国は、明らかに稲毛海岸三丁目団地の混迷を意識して、2002年に建替え円滑化法を制定し、区分所有法を改正した。建て替え決議に必要な棟ごとの賛成は「3分の2」に引き下げられる。もしもこの基準だったら稲毛海岸三丁目団地の決議は成立していたのである。

こうした顛末を、私は拙著『あなたのマンションが廃墟になる日』(草思社、2004年刊)に書いた。建て替えが頓挫して間もないころ、取材に通っていると団地の荒廃が目についた。大規模修繕が滞って外壁は傷み、給排水管の劣化が甚だしく、赤水が出ていた。建て替え計画をけん引していた人物は、突然、団地を出て姿を消した。痛々しくて、気がふさいだ。

 

あの稲毛海岸三丁目団地はどうなったのか。

団地の「それから」を知りたくて、16年ぶりに足を向けたのだった。

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