2020.03.06
# 不動産 # マンション

「スラム化」しかけた千葉のマンションが、奇跡の復活を遂げるまで

団地型マンション、再生のヒント
山岡 淳一郎 プロフィール

計画に沿って修繕が進んでいた2011年、東日本大震災で美浜区一円は液状化による地盤沈下に見舞われた。急遽、沈下したところに階段やスロープをつける修復を行い、予算を振り分ける。ひと段落した2015年、住民総会に目標を「築後80年」に延ばした長期修繕計画修正案が諮られた。

冷暖房費が30%減に

この修正計画で、理事長の久保田さんは大胆な「投資」に打って出る。

大規模修繕に合わせて、768戸の窓サッシを古いアルミ製から優れた省エネ性を誇る、高気密、高断熱の「Low-E複層ガラス」のサッシへ、玄関扉も耐震枠のついた最新式のものに総入れ替えするプランを立てたのだ。

問題は費用である。大規模修繕と窓サッシ、扉の更新の総費用は、しめて11億1500万円。手持ちの修繕積立金ではとても足りない。「住宅金融支援機構から6億円借りよう」と久保田さんは提案した。当然、反対の声が上がる。

「皆さん借金には抵抗がありましたね。でも、積立金が貯まるの待っていては先を見すえた改修はできない。金利は安い。6億円を8年で返済できる見通しが立ったので説得しました。毎年度末の修繕積立金残高は1億円以上を確保する。返済原資に一時金の徴収はしない。8年後に借入金を返すまでは積立金の値上げはしない、と約束し、賛同してもらいました」

じつは久保田さんは元銀行マン。資金計画を立てて実行するのはお手のものだったのだ。

 

窓や扉の改修工事が終了し、目覚ましい省エネ効果が現れる。各家庭の冷暖房費が、最高で50%、平均で20~30%もカットされたのだ。しかも気密性が高いので外の音が遮断され、室内が静かになった。「ありがたい。ありがたい」と高齢者もほくほく顔だ。

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