あまりの三国志好きが高じて『愛と欲望の三国志』(講談社現代新書)を著したニッポン放送アナウンサー・箱崎みどりさんは、「コミックDAYS」で連載中の漫画『パリピ孔明』に感銘を受けました。ネットでも話題沸騰の『パリピ孔明』が超絶面白い、その理由とは何でしょう? 外出の機会が少なくなっている方も多いと思いますが、 家でも楽しめる三国志漫画をご紹介します。
2019年最大の衝撃
話は、2019年の大晦日にさかのぼります。
私は、「コミックDAYS」という漫画アプリを愛読しているのですが、そこで「パリピ孔明」という驚きの文字を目にしました。
2019年最大の衝撃が、最終日に待っていたなんて!
孔明といえば、三国時代、蜀の劉備に仕えた人物で、圧倒的な知力に、無比の忠誠心、さらに高潔な人格まで併せ持つ、完全無欠のスーパー軍師。白羽扇と綸巾(帽子)がトレードマークです。
真面目を絵に描いたような人物と、近年はやりのパーティー・ピープルの略称「パリピ」、この意外すぎる組み合わせに目を疑いました。
ゲーム『真・三國無双』で、孔明が白羽扇からビームを放った時にも驚きましたが、その”ビーム孔明”を上回る衝撃、”パリピ孔明”。イラストでは、渋谷の象徴「109」(マルキュー)をバックにした孔明が、おなじみのスタイルそのままに、レンズが星型になったキラキラするサングラスをかけています。
「名軍師・孔明、渋谷に転生!」……このアオリだけでは、何が何やら。
ここで、三国志ファン歴25年、青春時代に孔明のポスターを自室に貼り、「人形劇三国志」の孔明のセリフをカセットテープに録音し、孔明についての論文を書くほど、孔明が大好きな私の頭によぎったのは、決してポジティブな展開ではありませんでした。
それでも、三国志を熱心に研究する者として、そして、「コミックDAYS」の熱心な読者として、1話、そして2話を読んでみたところ、すぐに陥落しました。先入観という私の城は、力強い『パリピ孔明』の前に、見事に打ち砕かれたのです。