フランスパンと感染拡大
欧米では手洗いの習慣は少ない。またほぼマスクをしない。高級レストランでも、食事の前にお手拭きなどが出てくることは原則ない。
また、たとえばフランスでは、細長いフランスパンを新聞紙の上に置いたりしている。日本人の持つ清潔観とはまったく違う感覚で暮らしている。むろん、どちらが良い悪いという話ではないが。

こういった生活の行動様式を変えるのには時間がかかる。その点で、日本は極端なまでに清潔好きな国民性であったことが、今回に関しては接触による感染力がきわめて強いウイルス対策として効果が出ているのではないか。
WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスによる1人の感染者から感染する人数が2.2人、インフルエンザが1.32人だとしている。この数字は接触感染だけのことではなく、ご存じのようにインフルエンザは空気感染を起こす。その分を差し引いて考えれば、新型コロナウイルスの接触感染や飛沫感染の強さがよくわかる。
それを防ぐ有力な手法が手洗いやマスクである。
感染ゼロから2週間で急拡大のインドネシア
東南アジアはどうか。現在はあまり表面化していないが、公衆衛生の進展度合いや医療レベルを考えると、これから感染が広がるような気がしてならない。
ASEAN(東南アジア諸国連合)で2月以降、感染者・死者が増える中でも「感染者ゼロ」だったインドネシアは、3月2日に初めての感染者が確認され、そこから2週間ほどで一気に感染が拡大し、学校閉鎖や入国規制などの措置をするに至った。
イスラム教の影響を受けた国では、お祈りに関連して手や顔、場合によっては足も洗うが、清潔観念から丁寧に洗っているというより、「儀礼」である。
ただ、マスクをつける習慣はあるし、日本の影響も強いので、欧米ほどにはならないものと期待している。