原則患者の自己負担
もう1つ、「患者申出療養制度」がある。
厚生労働省のホームページでは次のように説明されている。
「患者申出療養は、未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるため、患者さんからの申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、できる限り身近な医療機関で受けられるようにする制度です。将来的に保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集積することを目的としています。」
「患者さんの申出が起点となって未承認薬等の使用について安全性が一定程度確認された上で、身近な医療機関において実施できる仕組みであり、困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるものです。」
要するに、患者さんからの申出があったら、医師や関連病院などが連携して、さまざまなケースについて対応できるかどうかを検討し、そのうえで実施の可能性を探るという制度だ。
ただし、実際に実施してもらえるかは、完璧なデータまでいかないまでも根拠となる論文が必要になるし、保険が適用されない未承認薬の費用などについては、原則患者さんの自己負担となる。
アビガン以外にも多くの薬剤が試みられている。たとえば、エボラ出血熱の治療薬として開発段階にある新薬「リムデシベル」(米ギリアド・サイエンシズ)や、抗HIVウイルス薬の「カレトラ」(米アッヴィ)などに可能性がある。
また、本庶佑・京都大学特別教授のノーベル賞受賞で名高い、がんの免疫療法薬「オプジーボ」を開発した小野薬品工業という製薬会社がある。この会社が「フオイパン錠」の名称で発売した慢性膵炎の薬剤に効果があるのではないかということで、東大で臨床研究が計画されたりしている。