全面取引禁止措置
華南海鮮市場の閉鎖から55日後の2月24日、中国の国会に相当する全国人民代表大会の常務委員会は野生動物の不法取引を全面的に禁止することを目的とした法案の『不法な野生動物取引を全面的に禁止し、野生動物をむやみに食べる陋習(ろうしゅう)を改め、人民群衆の生命・健康の安全を着実に保障することに関する決定』(以下「全面禁止決定」)を採択した。
全面禁止決定はその日のうちに公布され、その公布を以て施行された。
1. 『中華人民共和国野生動物保護法』とその他関連法が禁止する野生動物の捕獲、取引、運搬、食用は厳格に禁止しなければならない。
2. 国家が保護する重要な生態的、科学的、社会的価値を持つ陸生野生動物およびその他の陸生野生動物(人工繁殖、人工飼育の陸生野生動物を含む)の食用を全面的に禁止する。
3. 科学研究、薬用、展示などの特殊状況により、野生動物を非食用で利用する必要があれば、国家の関連規定に照らして厳格な審査と検疫検査を実行しなければならない。
4. 各等級の人民政府と人民団体、社会組織、学校、メディアなどの社会各方面は、生態環境保護と公共衛生安全の宣伝教育と指導を積極的に行わねばならず、全社会の構成員が生態保護と公共衛生安全意識の自覚を強め、古い風俗習慣を改め、野生動物をやたらに食べるという陋習を止めて、科学的で健康で文化的な生活方式を育成する必要がある。
この全面禁止決定を踏まえて、中国政府の「国家林業・草原局」と「農業農村部」はそれぞれ2月27日付と3月4日付で一級行政区(省・自治区・直轄市)の関係部門宛に全面禁止決定が法律として成立した旨の通知を出した。
国家林業・草原局は野生動物の乱獲を厳しく取り締まると同時に、渡り鳥の大規模越冬地や繁殖地などの警戒を強化し、不法に設置された霞網の除去などを行うことを強く要請した。
また、農業農村部は、野生動物だけでなく、漁業法が規定する水生動物の管理を厳格化すると共に、「中華龞(チュウゴクスッポン)」や「烏亀(カメ)」などの両生類の管理強化を要望した。