飲食店「コロナ倒産」続出の影で、サギ師が補償金に群がろうとしている

兆単位のカネがかすめ取られる可能性
松岡 久蔵 プロフィール

「黒い賠償」を狙う勢力

東京都は、政府による緊急事態宣言の期限である5月6日まで、自粛要請に応じた中小企業などに協力金を出すことを決めた。単独店舗50万円、複数店舗で100万円を支給する。政府も最大200万円を給付する。

困窮する事業者への迅速な補償が何より求められていることは、論を俟たない。ただ政府も都も、休業要請に対する金銭補償をするにあたって、審査の条件や手続きなどの詳細をまだ詰め切れておらず、そこにつけ込もうとする勢力もうごめき始めている。

 

2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、福島第一原子力発電所の事故で被災した個人事業者や法人への賠償の実態を取材し、著書『黒い賠償』(彩図社)にまとめたノンフィクションライターの高木瑞穂氏は、今回の給付でも詐欺師たちが給付金に群がる可能性を指摘する。

「補償はスピードを求められるため、急ごしらえの体制で対応せざるを得なくなり、自然『ザル』になって詐欺師たちに付け入るスキを与える。売り上げ金減少の偽装や、あるいは架空の事業所をでっちあげるなどの賠償詐欺が横行するのです」

『黒い賠償』は、東京電力で個人事業主や法人を担当していた賠償係の男性が、詐欺容疑で逮捕されるまでの過程を描いている。2011年8月に成立した原子力損害賠償支援機構法を受け、東電は本格的な賠償に入り、事故で被害を受けた個人をはじめ、個人事業者、法人などに原子力損害賠償支援機構から、税金や電気料金を原資として賠償が実施された。

東電によれば、19年7月までに請求は290万件を超え、賠償額は約9兆622億円に上るという。

この巨額賠償には、本当に大きな被害を被った事業者を尻目に、反社会的勢力や詐欺師など、賠償金狙いの者たちが群がった事実がある。高木氏の著作には「花火大会が台無しになったので補償金を払え」「風評被害で売上が減った。月額500万円分を賠償してくれ」「ダメになった在庫1000万円を賠償してくれ」などの無理難題を吹っかけてくる人々をはじめ、多数の事例が登場する。

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