いまこそ、地球科学最大の古典『大陸と海洋の起源』を読もう!

地球科学の幕開けとなった画期的古典
竹内 均, アルフレッド・ウェゲナー プロフィール

原著序文

すべての地球科学が大昔にこの地球上でおこった事件に関する証拠を提供し、これらすべての証拠を総合して初めて真理が明らかになることを、科学者たちは理解していないようにみえる。

有名な南アフリカの地質学者であるデュ・トワが最近次のように書いている。

「すでに述べたように、大陸移動説が正しいかどうかを決めるには、主として地質学的な証拠に頼らざるを得ない。動物群の分布などにもとづいた議論は完全なものではないからである。手際はそれほどよくないけれども、この動物群の分布は従来主張されてきた陸橋説によっても同程度によく説明される。陸橋説では、大陸をつなぐ長くのびた橋が、その後海面下に沈んだと考えている」

一方、古生物学者のフォン・イエリングは手短かに、しかしポイントをついて次のように述べている。

「地球物理学的過程に心をわずらわすのは私の仕事ではない」。彼は「地球上での生命の歴史だけが過去における地理的変化を理解するのに役立つことを確信している」。

心の弱くなったある瞬間に、大陸移動説について私は次のように述べている。

「この問題の最終的な解決は地球物理学からくると私は考える。科学のこの分野だけが十分に精密な方法を提供するからである。大陸移動説がまちがっていると地球物理学者が言う場合には、それを支持する他の証拠がある場合にも、それは系統的な地球科学によって見捨てられるだろう。そしてこの事実に対する他の説明が求められるだろう」

このような意見を他に数多くあげることもできる。

各科学者は自分の研究領域だけがこの問題に結着をつけうると信じている。しかし、実際にはそれと反対である。

かつて存在した超大陸「パンゲア」(上)と、現在に近い位置まで大陸が移動した様子(下)。『大陸と海洋の起源』より

ある瞬間には地球はある形をしているだけである。しかしそれに関する直接の情報を地球は提供しない。

われわれは解答を拒む弁護士と向かい合った判事のようなものであり、状況証拠だけから問題の結着をつけねばならない。われわれが手にするあらゆる証拠は、このようにやや欺瞞的な性格をもっている。このような証拠だけから結論を導き出そうとする場合に判事はどうしたらよいだろう?

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