そんな中マイナーな存在だった昔ながらの「自然原料の無添加石けん」の主成分に驚くべき抗ウイルス作用があることが判明した。その研究者、メーカーの研究開発者らを訪ねた。
「自然原料で製造した無添加石けん、そのハンドソープの主成分である界面活性剤を調べたところ、インフルエンザウイルスに対する効果があまりにも大きいことにびっくりしました」
こう語るのは広島大学大学院医系科学研究科(ウイルス学)教授、坂口剛正さんだ。
坂口さんらが調べたのはヒトインフルエンザウイルスとネコカリシウイルス(ノロウイルスの仲間)。実験結果は、広く販売されている合成系洗剤(の石けん)の主成分と比べて、自然原料で製造した無添加石けんの主成分の抗ウイルス作用が最大で1000倍も大きかったというのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大が大きくなってきたため、前々から気になっていた手洗い用石けんについて詳しく聞きたいと北九州市と広島大学を訪ねたのは緊急事態宣言が出る前のことだったが、坂口さんらが明らかにした「自然原料の無添加石けん」が秘めている効果の大きさは予想外だった。
早とちりしてしてほしくないのだが、その抗ウイルス効果の研究はヒトインフルエンザウイルスやトリインフルエンザウイルスに関してのもので、新型コロナウイルスは含まれていない。
「ウイルスの構造などから新型コロナウイルスでも同様の効果があるはずですが、それはこれからの課題です」(坂口剛正さん)
意外とできない「1分間の手洗い」
新型コロナウイルスに感染しないためのノウハウが多々伝えられている。簡単にまとめると、この図のようになる。

その一つとして「手洗い」が推奨されているが、ウイルスを確実に洗い流すためにはかなり時間をかけての手洗いが必要だ。
手洗いは歯磨きなどと同様、きわめて日常的な行動だが、望ましい手洗い方法を身につけている人は少ないのでは。私自身、手のひらに泡をのせて、ちょいちょいとこすり水で流してすませていた。ストップウォッチで測ったところ洗い終わりまでおよそ15秒。これでは十分ではないようだ。
厚労省や内閣府は「正しい手の洗い方」を図解して公開しているが、どれくらいの時間をかければよいのかは伝えていない(こういう大事なことはしっかり伝えるべきです)。
確実な手洗いは1分は続けねばならないようだが、やってみるとたった1分でも手洗いを続けるのはかなりシンドいのである。

そこで、日本のみならず世界各国で確実な手洗いのための「手洗いダンス」や「手洗い歌」の公開が広がっている。
手洗いでは、洗い残しの部分が多くなりがちなので、ダンスや歌は洗い残しがないようにという配慮を込めて作っているようだ。
スマホで視聴しながら、これらのダンスや歌が終わるまで(時間をかけて)手洗いをしましょうという呼びかけは大きな社会貢献と思う。
北九州発、ウイルスに強い石けん
だが「手洗い」でまったく伝えられていないことがある。
どんな石けんを使えば、より抗ウイルス作用が大きいのか?