2020.04.19
# フランス

フランスで「1ヵ月ロックダウン」を経験、私の精神に現れた「変調」

続く「異常事態」に疲労困憊…
大野 舞 プロフィール

そんな中でも生活を続けるためには食料品の買い出しは欠かせない。我が家はなるべく1週間に一度にまとめて買い出しすることを心がけている。そもそもお店に行っても店内の人数制限をしているところがほとんどだ。そうなるとしばらく外で列を作らなければいけないし、中に入ってもレジでは並ぶし、人とすれ違うときにも間を開けろと言われる。

レジと客の間にはプラスチックの板が張られ、店内ではソーシャル・ディスタンシングについてのアナウンスが繰り返される。感染のリスクももちろんあるのだが、何をしても「現在は異常事態」であることを突きつけられるのには疲れてしまう。この常に異常事態(妙な言葉遣いだ)という状況の精神的ダメージは意外に大きい。

パリのスーパー。入り口に並ぶ人々〔PHOTO〕Gettyimages
 

食料品に関しては幸い、今のところ特に不足して困ることはない。最初はスーパーの棚が空になり驚いたが、当初は買い占めに走っていた人たちも、今は落ち着き、まとめ買いをしようという雰囲気に変わってきた。いつもよりハムの種類が少なかったり、一時は卵が不足したりということもあったが、食糧不足のような事態に陥ることはなかった。

郵便があまり届かなくなったのも変化の一つだ。車で20分のところに住んでいる義理の母が、子供達に会えないのでせめてと絵葉書を送ってくれたが、届くのに2週間以上かかった。

情報源のメディアにも変化がある。テレビでは複数人が出ていてもお互い2mの間隔をあけていたり、ラジオなどもコメンテーターやゲスト、それぞれが複数箇所からテレビ電話をつないで番組を作っていたりする。

関連記事