コロナ危機で大きく衰退する「先進国の末路」

欧米諸国の自壊と、排外主義の暴走
羽場 久美子 プロフィール

貧国・途上国の感染率の低さ

他方、「貧しい-発展途上国」の感染率は、現時点では非常に低く、数字で見る限り、米欧先進国での感染爆発と、アジア・アフリカなど途上国と、ロシアを除く旧社会主義国の低い数字は対照的である。

最初に8万人の爆発的な感染があった中国は、その厳格な隔離政策と政府国民一丸となったウイルス排除によって、ピークは1ヵ月、実質2ヵ月半でほぼ収束させ、韓国もコロナの検査と管理を徹底することにより、既に感染者も死者もほぼ1ケタ台の収束に向かっている。香港、台湾に至っては感染者1000人、400人台、死者4人、6人(4月26日)という状況である。

このことは、コロナウイルスの被害拡大に関し、医療上の専門家の意見だけでなく、格差、貧困、社会経済的スタイルの影響や、自由主義と独裁、オープン社会と隔離などをどのようにとらえるかという、国際政治経済的、社会的な分析が必要になっていることを示している。

米欧の感染拡大と、マイノリティの犠牲者

特に考察すべき対象であるのは、コロナの惨状が、資本主義社会で頂点にあるアメリカとニューヨークである。アメリカに遠慮してか、日本のメディアはあまり報じないが、アメリカは対応の遅れにより3月中旬から爆発的に拡大し100万人に至ろうとしている。

また医療水準や社会政策が世界でもトップクラスにあるEUでも現在イギリスが激しい勢いで伸びている。アングロサクソンやラテンの根源的自由主義による政府の市民統制の困難さ、トランプの失政、ワクチンの無接種、格差の拡大など原因は数多く考えられる。

先進国の大都市では、死者は黒人・ヒスパニックなどのマイノリティに集中している。黒人はアメリカ人口の3割程度だが、コロナの死者の7割が黒人とされ、ロングアイランドの無名墓地には連日数百の棺桶が運び込まれている。

アメリカの社会保障や保険制度の不備の結果ともいえるが、同様の現象は社会保障が比較的高いEUのスペイン、イタリア、フランス、イギリスでも起こっている。

 

先進国の自由主義や命より市場重視の価値観は、ウイルスが政府の政策に見合う形で爆発的に拡大する土壌を提供している。他方管理に比較的従順な儒教社会で、政府や上位の言うことに従いやすいアジア型市民社会では、統制が取れて感染が広がりにくい。

さらにアジアやアフリカの貧困国において、たとえ医療のインフラが整っていなくとも、ウイルスの拡大は比較的抑えられているという状況が存在する。

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