検査までの間、発熱にどう対処する
発熱したらイブプロフェンなどの解熱薬を飲む人が多い。このご時世、発熱したら新型コロナウイルス(以下、新型コロナと略記)の感染を疑わずにはいられない。新型コロナの受診・相談の目安によると、発熱が4日つづいたら、帰国者・接触者相談センターに電話し、その判断によってPCR検査を受けることになっている。だから、発熱から検査を受けるまで最短で4日かかる。この間、イブプロフェンを飲む人が多いのではないか。
気になるのは、イブプロフェンをコロナ感染に使うことの是非について、激しく議論されていることだ。ある人は、イブプロフェンをコロナ病で発熱したときに使うと症状が悪化するリスクがあるといい、別の人はそんなことはないという。イブプロフェンを飲むべきか否かという問題がある。それともうひとつ、そもそも感染症で発熱したら解熱すべきなのか、この点についても考えてみる。
新型コロナの感染にイブプロフェンを使用することを危険とする意見がある。2020年3月18日のCNNの報告である※1。フランスの厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、新型コロナの感染による発熱と痛みを抑えるのにイブプロフェンなどNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬、エヌセイドと発音)を使用することの危険性を指摘し、代わりに、アセトアミノフェン(パラセタモール、カロナール)を使用するように推奨した、と。

CNNによると、EUの健康関係のある専門家は、イブプロフェンと新型コロナの副作用について、エビデンスが発表されてないことを理由にヴェラン氏の提言を批判しているという。また、WHO(世界保健機関)のスポークスパースン、タリク・ジャサレビック氏は、論文を急いで調べたが、ヴェラン氏の主張を支持する臨床的なデータを発見できなかったと述べている。
同じように、NIAID(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所)は、NBCニュースに、大意、こう答えている※2。イブプロフェンが新型コロナの感染に悪影響をおよぼす、症状を悪化させるリスクを高める、または新型コロナの感染を容易にする、などの報告があるが、これらを評価するさらなる研究が必要である。ここで「さらなる研究が必要である」というのは専門家独特の言い回しで、翻訳すると「わからない」ということだ。
これとほぼ同じ内容のコメントをEMA(欧州医薬品庁)が発表したが、イブプロフェンが水疱瘡や細菌感染症に悪影響をおよぼすことがANSM(フランス医学・健康安全委員会)によって報告されていることも指摘している※3。