正恩氏の3人の子供は10歳以下であり、指導者となるには幼すぎる。
兄の正哲氏の関心はエリック・プラントンであり、これまで一度も政治や権力に興味を示したことがない。ただ、本当に関心がないのか、正恩氏が権力者となり、粛清を繰り返してきたので、保身のため関心がないふりをしていた可能性はある。
叔父の平一氏は、正日氏との権力闘争に敗れ、欧州の大使に追いやられた人物であり、国内に政治基盤がない。北朝鮮の駐英公使から韓国に亡命した太永浩氏は平一氏を推すが、いま平一氏に近づくことは身の破滅となりかねないので、可能性は低いであろう。
そうした中、海外が注目しているのは与正氏である。

金与正の「知られざる能力」
正日氏が3人の子の中で最も評価していたのが、与正氏であり、「彼女に口ひげがあったなら、与正を後継者にしていただろう」と述べていたそうである。与正氏は96年から2000年まで、正恩氏と一緒にスイスのベルンに留学していたが、正恩氏より成績が良く、現地の学校にも馴染んでいたという。
正恩氏にとって、政権の中で唯一信頼できるのが与正氏と言われる。「昨年10月に白頭山を訪問した際、随行した幹部に『私の後継者は金与正同志』と話した」と述べたとの情報がある。