5・15事件と元エリート職員の反乱劇から考える「創価学会の未来」

組織・マネジメント論から見えること
秋山 謙一郎 プロフィール

陸軍と海軍、組織の違い

さて、先程、この元3職員たちを、2・26事件連座の青年将校に準えた。だが、主に週刊誌報道によって、彼らの存在が世に知られるようになってからの学会側の動きをみれば、2・26事件ではなく、むしろ5・15事件のほうが、その実情に即している。

2・26事件では、事件後、陸軍は、軍法会議(裁判)にて事件連座の青年将校の多くに死刑判決を下し、早々に事件の幕引きを図った。その一方で、陸軍は、この事件を巧みに利用、「何かあれば軍は暴発するぞ」と政治、言論にプレッシャーをかけ、政権の奥深くへと入り込む。

これが2・26事件は、陸軍によるカウンター・クーデターが成功したと言われる所以である。このように陸軍では、事件を通して、“外”に目を向け、組織の拡大、権益拡大に注力した。

対して5・15事件では、事件連座将校は、誰一人として死刑判決を下されることなく、最高でも禁固15年、概ね禁固10年(海軍将校のみ)と、一国の首相を暗殺したにしては、比較的、軽微な判決で済ませた。そこには海軍当局の「死刑判決を下さえば、その者は、志を同じくする者から英雄視されること」を避けるためという配慮があったという。

もちろん、海軍内部でも、5・15事件連座将校に同調する者も居た。だが、海軍が組織として事件連座将校たちの思想にNOという姿勢を打ち出すと、同調する者たちは、内心ではどう思っていたかはさておき、組織としての姿勢に従っている。この5・15事件を契機に、海軍は、意思統一が図られ、より組織的結束を強めることとなった。

このように海軍では、陸軍とは違い、事件を通して、“内”に目を向け、組織内部の結束のみが関心事だった。いわば自己完結型志向の組織である。

組織として外に目を向ける陸軍、内に眼を光らせるのが海軍といったところだ。

学会では、元3職員の“決起”を、あくまでも彼ら個人の問題として片づけ、事をそれ以上、拡大することはなかった。関心事は、内部的な動揺を抑えること、それにのみ注力していたという。

 

こうした学会の動きについて、ある関係者は、次のように述べた。

「彼ら元3職員の行動を、うまく利用して、公明党が連立を組む自民党へのプレッシャーとなる材料にするなど、もっと知恵を使えば、わが学会の力をさらに引き出せたはずだ。それが出来ないのが、学会が持つ組織風土と、幹部たちの発想の限界だ」

たしかに、安保法制の議論で揺れた2015年当時、学会側が、この元3職員の決起(学会サイドからみれば反乱)を巧みに利用し、支援団体である公明党を通して、「学会内部では、安保に反対する勢力があり、とても手がつけられない」「事によっては、今後の自民党との連立、選挙協力にも学会員はソッポを向きかねない」と、連立政権のパートナー、自民党に言えば、それこそ、かつての陸軍が政権を揺さぶったのと同様、その賛否はさておき、学会側も強い存在感を内外にみせるけることができただろう。

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