5・15事件と元エリート職員の反乱劇から考える「創価学会の未来」

組織・マネジメント論から見えること
秋山 謙一郎 プロフィール

学会と海軍の見えないつながり

こうした関係者の話を聞く限り、学会の組織風土は、内部で起きた出来事は、なるだけ内部で処理する、観方次第では穏健な自己完結型の組織風土で、かつての海軍のそれに近いものがある。

この学会と海軍という、一見、奇妙な組み合わせだが、両者の縁は、か細いながらもある。学会草創期に男子部第2部隊長として活躍、後に池田名誉会長の後を継ぐ形で第4代会長に就任した北条浩氏の存在だ。池田名誉会長の自伝的小説『人間革命』(池田大作著・聖教新聞社刊)で登場する「十条潔」のモデルとなった人物である。彼は、学習院から海軍兵学校(73期)卒、海軍中尉で終戦を迎えた、生粋の海軍将校だ。

その北条氏が、草創期、組織としての輪郭を形作っていこうとする時期、若手幹部として、時に、その過程で、どこか海軍の組織論、マネジメント論を学会に持ち込んだ可能性は、かならずしも否定できない。

学会関係者何人かの話を総合すると、学会では、末端の地方組織であるブロック、その上の支部、地区、本部……と核となる組織がある。その組織では、正役職と呼ばれるライン職、たとえば支部長であったり、本部長であったりが、絶対的な責任者であり、副役職と呼ばれる補佐役は、「正役職」に就く者が、何らかの理由で、その職務を行えない時の臨時の代行に過ぎず、正役職者が長期の不在となりそうな場合は、「他(他の地域という意味)から正役職者を連れてくる」(元学会地区部長)ことになるという。

この辺りも、かつての海軍では、艦長が、短期間の不在となった際は、ナンバー2の副長が代理をするが、その期間が長引き、新任の艦長が着任するまでの間、他の艦の艦長に艦長職を兼務させていたことを彷彿とさせるものがある。ナンバー2の職にある者を、すんなりと昇格させるということはないのだ。

そもそも地上で戦う陸軍では、戦闘時、連隊の下部組織、中隊が、連隊長からはぐれてしまい、そこで敵を発見、通信も途絶えていれば、これは中隊長の裁量で攻撃することも可とする風土がある。これが独断専行だ。積極的に事を起こす、やる気のある人材が育つ一方で、結果さえ良ければプロセスを問わない、下剋上主義が蔓延るという弊害があった。

 

対して、四方海に囲まれ、鋼鉄の塊、艦で過ごす海軍は、艦のトップ、艦長に絶対的責任と権力を持たせておかなければ、艦そのものがスムーズに動かないという事情もある。艦長が「面舵」と命令したのに、その部下である航海長が、独自の判断で「取り舵」と命令すると、艦内は混乱する。だから海軍では、艦長といった正役職に就く者が絶対で、その部下たちは、補佐役に徹し、何らかの事情で連絡が遮断された状況でも、出来るだけ艦長、すなわち正役職者の命令を聞く努力をし、それを忠実に実行することが求められる。正役職者の指示通りに組織が動く反面、上から言われたことしかしない、上が間違っていると思っても、敢えて、これを放置する者も出てくるといったデメリットもあった。

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