コロナ禍のインドネシアを脅かすもう一つの「見えない敵」

テロ組織MITの動きが活発化している
大塚 智彦 プロフィール

JIが源流のMITはフィリピン組織とも連携

MITは2011年にサントソ容疑者が設立したテロ組織で、1993年にイスラム教指導者アブ・バカル・バシル師が創設した「ジェマ・イスラミア(JI)」の流れを受け継ぐ組織とされている。

バシル師は2008年にJIを離脱して新たなテロ組織「唯一神擁護共同体(JAT)」を設立したが、このJATのメンバーが分離して立ち上げたのがMITで、2012年に同じくJATから分かれたアブ・ウマル容疑者がジャワ島のバンドンで新設した「西部インドネシアのムジャヒディン(MIB)」と共に過激なテロ組織として当局の厳しいマークを受けることになる。

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MIT創設者のサントソ容疑者は2016年7月に治安部隊との交戦で殺害され、その後はイシャック・イパ(別名アリ・カロラ)容疑者が実質的指導者となっているとされるが、国家警察対テロ特殊部隊「デンスス88」などによる集中的取り締まりなどでメンバーの射殺、逮捕が相次ぎ一時メンバーは7人前後と組織の弱体化が伝えられた。

しかし、MITは近年フィリピン南部のテロ組織「アブ・サヤフ」などとネットワークを再構築することで組織の生き残りと再生への道を模索しているとみられていた。フィリピン南部スールー州ホロ市で2019年1月27日に発生したキリスト教会爆発テロではMIT所属とも指摘されたインドネシア人夫妻が「アブ・サヤフ」メンバーの支援で自爆テロを決行し、20人が犠牲となるテロ事件も起きている。

 

このテロ攻撃でインドネシアとフィリピンのテロ組織同士のつながりが明らかになり、両国治安当局の間で警戒感が高まると同時に国境を越えた警戒監視を強める事態になった。

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