コロナ禍のインドネシアを脅かすもう一つの「見えない敵」

テロ組織MITの動きが活発化している
大塚 智彦 プロフィール

メンバー獲得に複数ネットワーク活用

さらに報告書では、MITが減少したメンバーの獲得を目指したリクルート作戦を展開し、刑務所に収監されている服役囚を通じて組織の再構築を図っているほか、イスラム教の教育機関、災害ボランティアなどのネットワークを活用していると指摘している。

刑務所ネットワークでは刑務所内の劣悪な環境に加えて密閉空間、密集場所、密接場面という典型的な「3密現場」であることからインドネシア当局はコロナウイルスの集団感染を防ぐためにこれまでに約3万6000人の服役囚の早期釈放に踏み切っている。

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釈放対象者には麻薬犯罪、汚職犯罪、テロ犯罪での服役囚は原則として含まれていないが、スラウェシ州各地の刑務所内で服役中のMITメンバーが刑務所内で接触して勧誘した一般刑事事件の容疑者などをテロ組織に参加させることに成功したケースもあるとしている。

2018年9月28日、中部スラウェシ州で発生した大地震・津波はポソ市を中心に約2000人以上の死者、1000人以上の行方不明者を出す大惨事となり、軍や警察は被災者救済と支援、行方不明者捜索、復興支援に専念せざるを得ない状況となった。MITはこの時、災害復興のボランティアを装ったメンバーが被災地で生活に困窮する住民や若者を積極的にリクルートし、報告書では「少なくとも3人の新メンバーを獲得した」としている。

 

さらにスラウェシ各地のイスラム教の学校、教育機関でのリクルート活動も継続されており、イスラム過激主義、急進思想などを説いて組織への勧誘を続けているとみている。

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