コロナ禍のインドネシアを脅かすもう一つの「見えない敵」

テロ組織MITの動きが活発化している
大塚 智彦 プロフィール

大統領は国軍のテロ作戦単独参加を模索

日本大使館の注意喚起には「特に現在差し迫ったテロの危機はない」とあるが、インドネシアの国家情報庁(BIN)や国家警察対テロ部門などにはかなり具体的な差し迫ったテロに関する情報が集まっているといわれている。

このためテロの可能性が高まる断食月終了(5月22日以降)に向けてジョコ・ウィドド大統領は国軍が対テロ作戦に単独で独自に参加、対処できる道を大統領令によって開こうとしている。

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これまで国内治安問題であるテロ対策には国家警察が主管で対応してきたが、テロ組織の重武装化、広域化、外国人の参加などから国軍が例外的に共同対処することが法改正で認められてきた。

2016年7月、MITの創設者で指導者だったサントソ容疑者を戦闘の末射殺した作戦は、同年1月10日から開始された警察と軍による「ティノバラ作戦」という共同作戦の成果だった。この作戦ではMITの主要メンバーやウイグル人ら37人が殺害され、18人が投降し、ほぼ壊滅状態に追い込むことに成功したとされているが、治安当局側も兵士14人、警察官2人が犠牲となっている。

 

その後MITはメンバーを新たに獲得して2020年4月現在は15人前後が中核となって活動を継続していると治安当局はみている。「この中核メンバーは筋金入りのテロリストでその周辺に人数不確定の新メンバーやシンパが集まり新たなテロ活動を模索している」と情報当局者はみている。

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