海岸はカズノコだらけ! 約70年ぶりにニシンの群来が【動画付き】
キツネやタヌキ、鳥たちも大喜び!海が乳白色に染まる!
ニシン(鰊・鯡)は「春告げ魚」とも呼ばれ、初春に、産卵のために沿岸にやってきます。
大群が浅瀬に押し寄せ、一斉に産卵をし、海がニシンの放卵放精により乳白色に染まる現象を、「群来(くき)」と言います。
僕は、「ニシンブルー」と呼んでいます。

ニシン漁で栄えた北海道留萌周辺では、昭和の中頃までは、毎年のように群来が見られたそうですが、近年、ニシンの数も激減し、群来はめったに見られなくなりました。
小規模な産卵は数年に一度ありますが、小規模だとすぐに海に拡散して消えてしまうので、観察は難しいのです。
僕自身、40年間生きてきて、群来を見たことはありませんでした。
ところが、今年、留萌での大規模な群来を、この目で見ることができました。
漁師さんの話では、留萌市の景勝地・黄金岬での群来は、昭和28年以来のことだそうです。実に、68年ぶり!
75歳の僕の父親を呼び、群来を見てもらいましたが、初めて見たと感動していました。
映像の群来は、フラワームーンと呼ばれる満月の日に撮影しました。
潮の満ち引きは、魚類にとっては重要なのでしょうね♪
なんとも神秘的です。
カズノコで黄金色に輝く海岸
群来の翌日から2日間、海が大時化になりました。
時化が去って海が凪いだ早朝、海岸を通りかかると、カモメの大群が、海面をつついていました。
なにかあるのかな?と砂浜を覗くと…。
灰色のはずの砂浜は、黄金色に輝いていました。
ま、まさかと思い、砂浜に降りて確認すると、大量のニシンの卵・カズノコでした。
海岸が、おせち料理の高級食材カズノコで埋まっているのです。

その量、なんと! 軽トラック数台分!!(僕の推測です)
どれほどの数のニシンが産卵すると、こんな量になるのか想像もつきません。
それでも、群来の規模からすると、打ちあがった卵は、ほんの一部にすぎないのでしょう。
打ちあがったカズノコには、カモメ、カラスが群がり、キツネやタヌキも食べに来ていました。
漁師さんの話では、群来の後は、ホッケ、ソイなどの魚もカズノコを狙ってやってくるのだそうです。
命が繋がるとはこういうことなのでしょう。
もう一生見られないかもしれない生命萌ゆる瞬間を、呆然としながら記録し続けました。