検察は安倍首相を逮捕しない…「検察庁法改正」の根本的問題と今後

これは疑獄事件の一幕だ
河合 幹雄 プロフィール

排除すべき政治家とそうでない政治家

それ以降、検察官は、巨悪と呼ぶかどうかはともかく、大物政治家の贈収賄事件を検挙することを熱望して活動してきた。

法改正して、収賄罪の構成要件(定義)を広げ、金品の受領を証明すれば有罪にできるようにし、法務大臣の指揮権をさけるために自由民主党の派閥争いを活用し、三木派の法務大臣の時に田中角栄を逮捕、宮澤首相、後藤田法務大臣の時に金丸逮捕と工夫した。

この他にも、検察人事と贈収賄事件をめぐる暗闘は継続されてきており、検察と自由民主党の間には、長期にわたる緊張関係があることを理解しておかなければならない。

たとえば、田中角栄の汚職を追究した立花隆は、堀田力が検事総長になれなかったのは、大物政治家を検挙しようとしたからだと解釈している。

ここまでは業界にとっては常識だと思うが、以下は、私の大胆な見方である。逮捕されたりされかかった政治家が、ことごとく首相クラスであることに注目すべきである。

 

明治維新以降、国会を作って西洋の真似事の法治国家だと言ってはいるが、昔からボスが密かに料亭で話し合うのが日本の意思決定の仕組みである。

そこでお世話になった人々は、お礼しなければおかしい。手ぶらで人に物を頼みに行くのは非常識も甚だしい。金品の受け渡しが政治権力者に対してあったことで逮捕していたのでは、日本の政治家は皆逮捕しなければならない。

そこで、検察側は、良い賄賂と悪い賄賂を区別するというよりも、国益という視点で排除すべき政治家と、そうでない政治家を判断してきた。

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