検察は安倍首相を逮捕しない…「検察庁法改正」の根本的問題と今後

これは疑獄事件の一幕だ
河合 幹雄 プロフィール

日本政治の劣化はどこまで進むか

今後の予想を少ししておこう。

検察は、安倍首相は逮捕しない。「桜を見る会」の問題で逮捕は技術的には簡単であるが、これは逆の意味で行き過ぎである。

三権の長である首相逮捕は、日本の行く末を検察が決めることになり、三権分立の精神にも反する。田中角栄の例外はあるが、首相クラスの逮捕には謙抑的である。

他方、検察が忖度してくれると勘違いしている首相周辺の政治家は、次々に起訴していくであろう。検察庁法改正法が成立してもしなくても、ここは同じである。自民党本部へのガサ入れも十分あり得る。それを検察外部の許可なくできるのが特捜である。

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最後に、もし仮に、政権側と検察側の力の均衡が破れ、検察が政権に手出しできなくなったらどうなるか述べておこう。

そのさいには、いつか安倍首相が退陣した後に安倍首相逮捕となるであろう。これはしばしば第三世界の国々で観察されるパターンである。日本政治の劣化がそこまでいかないことを希望する。

 

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