コロナ時代には「紙とハンコ」の文化はヒトの命をおびやかす

進化が80年代で止まっている日本
野口 悠紀雄 プロフィール

紙の段階で止まってしまった日本

上で述べたシステムの基本は、紙だ。公官庁のみならず、日本のさまざまな業界が、紙の世界から抜け出していない。

送金もそうだ、キャッシュレスは遠い夢だ。僅かな金額を送金するにも、インターネットバンキングやATMでは駄目で、銀行や郵便局の窓口に行かなければならない場合がある。相手が口座振り込みを受付けないからだ。

窓口から送金するとなると、人が密集しているところで待たなければならない。なぜこんな危険なことをしなければならないのか? 日本のキャッシュレス化の遅れが、恐ろしいほどのコストになった。

 

日本の事務処理のプロセスは、コピー機とFAXという80年代頃の段階で止まっている。不動産業や建設業など、ファックスで受発注を行う業界もある。書類をPDFで送ってほしいと頼んだら、「PDFとは何?」と問い返されたという話がある。

こうした状態こそ、日本の生産性が世界的に見て著しく低い理由だ。インターネットが進歩したにもかかわらず、20年以上もそれに対応してこなかったつけが、ここにきて一気に顕在化しているのだ。

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