さらには、「幼稚園・小学校・中学校があるエリアのため登下校の子供が多く、問題が起こる可能性があるのではないか」「親御さんは自由に外で遊ばせられないのではと心配している。どう考えるのか」「入居者が高齢者や介助を必要とする方々とトラブルを起こす心配はないのか」など、精神障害者を著しく侮辱する内容の質問状を突きつけ、モアナケアや横浜市に計画の撤回を求めた。
反対デモには子どもの姿まで
2019年5月には、内覧会を実施したYACHTの前に、幼い子どもを含む住民ら約30人が集結。前述した2種類のヘイト幟旗と、「運営反対」「地域住民を無視するな」と書いた計4種類の幟旗を掲げ、モアナケアの職員にさらなる説明を求めたり、大声で威圧したりするなどした。
こうした活動は、居合わせた子どもたちに「障害者は排除してよい」という偏見を植え付ける「ヘイト推進教育」を施しているとさえ言える。「子どもたちの安全を守れ」と言いながら、不当な差別心を植え付け、精神障害者の心を問答無用で傷つける加害者側に組み込もうとしているのだ。

反対運動は、入居が始まった2019年6月以降も止まず、入居者たちは住民からのヘイトに怯えながら日々を送る事態となっている。
YACHTでは現在、病状が安定した30歳代から60歳代の男性5人が暮らしている。横浜市で精神障害者のグループホームが建つと、多くは半年以内に部屋が埋まるのに、ここは1年経っても半数が空室となっている。地域の露骨な差別が新たな入居者を阻み、施設運営に深刻なダメージを与えている。