コロナ禍で多くの人が「日本の異常事態」を認識したという「希望」

「ニューノーマル」の時代に向けて
辻野 晃一郎 プロフィール

それでも、いわゆる「オーバーシュート」と呼ばれる感染爆発や深刻な医療崩壊に至らずに第一波が収束に向かっている要因については「ファクターX」とも呼ばれる謎になっているが、現場の医療従事者たちの懸命な治療活動に加えて、外出自粛を遵守した生真面目さ、同調圧力への弱さ、潔癖性などの日本人の国民性や日々の衛生習慣が要因になっているのではないかとの推測もある。

この推測はともかく、日本人が持つ潔癖性については、後述するアブノーマルの浄化にも大いに発揮してもらいたい。  

〔PHOTO〕gettyimages
 

コロナ前から続く「緊急事態」

「この国でここ数年続いている異常事態」とは何か? それがもっとも顕著なのは政治の世界だ。実は、コロナによってもたらされた緊急事態のはるか前から、この国では現政権の悪政による緊急事態が続いている。

もちろん、この問題の深刻さを憂えている人たちはずっと警鐘を鳴らし続けてきた。この連載でも以前に何度か取り上げて指弾した。野党も粘り強く追及を続けてきたが、官邸によるメディアコントロールの巧みさもあって、国民の関心は常に逸らされ、事態が好転することはなかった。

それが、今回のコロナ禍によって状況が一変しつつある。首相と官房長官の確執など、政権内部の分裂も囁かれているが、コロナ禍への一連の危機対応のまずさと、火事場泥棒的ともいわれた検察庁法改定の動きによって、ようやく多くの国民が政治の大切さと現政権の異常さを認識し始めた。

思い返せば、現政権の暴走は、2013年に異例の人事異動で小松一郎氏(故人)を内閣法制局長官に起用して戦争法とも呼ばれた2015年9月の安保法制強行採決に向けた地固めを始めた頃から露骨になった。

その後、この政権下では、森友問題、加計問題、自衛隊の日報隠蔽、統計データ偽装、伊藤詩織さん事件での逮捕揉み消し、PEZY社スパコン助成金詐欺、リニア新幹線汚職、甘利明氏事件、IR(カジノ)汚職、河井克之・案里夫妻事件、サクラ疑惑、業者選定などが不透明なアベノマスク疑惑、黒川弘務氏の定年延長とその後の処罰問題、持続化給付金事務処理の発注企業問題などなど、表に出ているだけでも、とてもすべてを網羅しきれないくらい数限りないスキャンダルが噴出し続けている。

国家の品格を著しく傷つけるようなこれらのスキャンダルは、公文書管理法、公職選挙法、政治資金規正法、あっせん利得処罰法、検察庁法などなど、さまざまな法令違反や脱法の疑義が強く、しかもすべて安倍首相本人や首相夫人または政権中枢の関与が疑われているものである。

しかし、いずれも当事者たちからの説明責任はまったく果たされていないに等しい。河井夫妻事件を除いては検察の動きも鈍く、メディアも及び腰のまま徹底追及していない。

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