6月3日から国境も開放
5月18日から緩やかな経済活動を再開したイタリアでは、6月3日以降さらに大幅に移動制限を緩和し、国内の州を越えての移動やEU加盟国で移動の自由を許可している近隣諸国からの観光客の受け入れも再開した。
国外からの入国者に対しては、これまで義務付けられていた14日間の隔離措置も撤廃。3月10日から続いていた厳しい移動制限を解除し、代わって大打撃を受けた経済の回復に向けて動き始めた。
6月3日夜の記者会見でコンテ首相は、
「5月4日から約1ヵ月の(新規感染者の)数値は慎重に言って勇気づけられるものだ。私たちは再開できる。数週間に渡って多大な犠牲を払ってきた私たちには、笑顔になり、快活になる権利がある。私たちは安全な環境のもと、活動と日常生活を再開できる最初の欧州の国の1つであり、それは私たち全員がそれまでの生活様式を根本的に変えることを受け入れたからだ」
と述べ、経済回復へ向けて本格的に再始動すべき時が来たと話した。
その上で、パンデミックはまだ続いており、日常生活の中での行動指針に関する注意時事項を引き続き遵守するよう呼びかけた。
国境を開放し、EU諸国からの渡航者を隔離措置なしで受け入れるようになったイタリアだが、近隣諸国と自由に行き来できるようになるまでにはまだ時間がかかりそうだ。
スイス、ドイツ、オーストリア、フランス、スペイン、ギリシャなどはそれぞれの感染状況を見ながら6月上旬から下旬にかけて段階的に国境を開放していく予定で、入国者に関しても自国の感染状況によって制限する可能性が高い。
欧州各国は、夏のバカンスシーズンを前に観光業をすぐにでも活性化させたいという考えで一致しているが、移動者が増加すれば感染が再び広がるリスクも当然増える。
そのため、どの国も制限の解除は条件付きで緩やかに進めていこうという姿勢を見せている。イタリア国内の観光名所は人数制限・マスク着用・対人距離の確保の義務付けなど、一定の条件の元で観光客を受け入れ始めているが、コロッセオやスペイン広場がかつてのような賑わいを取り戻すまでにはまだまだ長い時間がかかりそうだ。

コロナ危機に尽力した人々を讃える
緩やかに活動が再開し、人々の関心も少しずつ「家の外へ」と向き始めた6月初旬、イタリアの祝日である2日の共和国建国記念日と前後して、コロナ危機に尽力した人々を讃える様々な動きが見られた。
イタリア国内でコロナ感染患者第一号が発見された2月20日を「白衣の日」として制定し、医療従事者への感謝とコロナウイルスの犠牲者を偲ぶ日にしようという動きが各地で広がり、この法案が上院で満場一致で可決された。
また、共和国建国記念日の翌日にはコロナ危機の状況下で人々のために尽力した57名の一般市民に対し、大統領からイタリア共和国功労勲章が授与された。
受章者は医療関係者だけにとどまらず、私たちの身近にいる「普通の人々」が大多数を占めている。