システム化された人種差別

人種的平等を目指すアメリカの組織「Race Forward」のサイトによると、黒人に対するシステム化された人種差別は公共機関や社会に潜む人種差別を指し、富の格差、雇用、住宅、政府による監視、収監、麻薬逮捕、移民政策、乳児死亡率の8つの分野で起きているという。

奴隷制や人種隔離政策が廃止された後も、黒人は白人と同じような教育や医療が受けられないせいで、犯罪が多発する貧困地区から抜け出せない。その結果、賃金の高い仕事につけず、また、乳児の死亡率も高い。黒人に対する偏見のせいで雇用されなかったり、入居を拒否されたりするケースもある。加えて、警察の人種プロファイリング(犯人の特徴を人種別で推測すること)は、黒人への監視を強化し、麻薬所持を疑う。だから黒人が逮捕される確率は高いのだ。

ストックフォトのサイトでも、「黒人 逮捕」で検索すると、この写真のように黒人の犯人と白人警官の写真ばかりが出てくる〔PHOTO〕iStock
 

もちろん、これは黒人だけでなく他の人種的マイノリティにも当てはまる。特に不法移民については世界中の国から来ているにもかかわらず、中南米系=不法移民という印象操作がされている。トランプ大統領のメキシコ国境の壁建設がよい例だろう。

そして、最も目に見える差別が先日の事件に象徴される警官の暴力だ。BBC NEWS JAPANの記事によると、2019年に発生した警官による住民の射殺事件1004件のうち、射殺された人数の23.4%が黒人で、36.8%が白人だったという。アメリカの総人口の黒人の人口比が13.4%で、白人の人口比が60.4%ということを踏まえると、黒人住民が警察に撃たれて死亡する確率は、白人よりもはるかに高い